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晴と雨の××× 18
そう至極まともなことを言ってくれるが、それならば本人にもう少し説明をして欲しい。
「本当に……いたのは知り合いで……知り合いって言うか、その、 」
そこでもやっぱり、虎徹との関係を説明する言葉が浮かばず、もごもごと言うしかできなかった。
案内された一室は、もう誰が見ても明らかに病室かそれに準じると言った雰囲気の真っ白な壁紙と床とカーテンで、足を踏み入れはしたけれど居心地悪くその場で立ち尽くす。
「はは、酷いだろ、ここ」
阿川がそう言って、新品の着替えと洗面用具タオルなんかを部屋に運び入れる。
「もうちょっと可愛げのある内装にすりゃいいのにな?」
「あ、うん」
「とりあえず、今夜だけだし我慢して貰えたら……明日には新しい家に案内できると思うしさ」
「そ か 」
何気に言ったことでこんな大事になるとは思わなかった。
申し訳ない気持ちで、他に何かいるものがあるか聞いて来る阿川に首を振る。
「あ、あのさ、……なんでこんな大事になってるのか聞いても……?」
「うん?林原さんが珍しいバース性だからだよ。あ、瀬能先生また説明サボったかな?」
「いやっそうじゃなくて……特に、なんか実感がなくて」
無性ではないけれど、αやβ、Ωに分類できないって言う説明は聞いた。
けれど一般人からしてみたら、だからなに?で終わってしまう話で、それをわざわざこんな待遇までして調べたがる意味がわからない。
「うーん、だから、俺達は産まれた時にすでに性別って決まってるわけだ。この場合、肉体の話しであって心は別ね」
両手でちょい と放り出すジェスチャーをされて、思わずうなずいた。
「まぁレアケースで両性具有とかいろいろあるけど、それもちょっと置いといて、ざっくりとした話で言うとアルファかベータ、もしくはオメガ……あとは無性に分類できるんだけど、林原さんのバース性は自分で選べるんじゃないかって話」
「……は?」
「魚とかで話を聞いたことない?性転換する話」
いきなり人間ではなく魚の話を持ち出されて戸惑い、曖昧に首を振る。
「環境だったり、個体数だったり、温度だったり、強さだったりいろいろなんだけれど、状況に応じて性別が変わるんだ」
「そ、それ は、動物の話なんだよな?」
「うん」
あっけらかんと返されてほっと肩の力を抜く。
動物の話なのにそれが人間に適応できるはずがないと、なぜだか安心してしまっていて……
「でも。それが出来る可能性があるかもしれないのが『χ』って性別なんだって説明を受けてるんだ」
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