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晴と雨の××× 19

 阿川の説明は俺の意識の上を素通りして……「は?」と思い切り尋ねたかったはずなのに、その突飛な話の内容に意識がついて行かなかった。  普通の、ごくごく平凡な人間だと自負していたものが突き崩される居心地の悪さに、思わず睨みつけてしまっていたらしい。  『χ』と言うか、自分のバース性が普通ではないと言う説明は受けてはいたが、それはそこまでで自分で性別を選べる云々は説明を受けてはいない。  阿川は気まずそうに肩をすくめる。 「あの瀬能先生は、バース性に関しては人権なんて……って思っているところがあるから、   」  気をつけて とでも言葉を続けようとしたのだろうか?  けれど言葉は出てこず、困ったようにもう一度肩をすくめてみせるだけだった。 「まぁ、今はまだ何もわかってないし、さすがに非人道的な実験とかはしないから……多分」  小さく付け加えた言葉を苦笑いに、冗談だろうと言い返せずに表情を作るのに失敗した顔を向けた。 「なんにせよ、そう言った変わったバース性って言うのは良くも悪くも注目を浴びやすいから、気をつけた方がいいって話」 「そ それ、は、俺に何かしなきゃいけない備えとか、あったり?」 「林原さんにはすっげー護衛をつける話になってたから、そう言うのはないけど……」  なら、そのすっげー護衛は仕事をしているのかと言う話になってくる。  現に俺の家には虎徹がいて、あっさりと侵入を許してしまっているのだから…… 「その話も今夜のうちに話し合って対処するはずだから」 「…………」  先ほどまで暢気に構えていたのに、急にきな臭い話をされて胡乱な表情を見せる。 「いや、胡散臭いけど信用のできる人達、だと、おも   」  俺の表情ですべてを悟ったのか、阿川は言葉を無くして気まずそうに頭を掻く。 「瀬能先生は胡散臭いけどバース性研究ではトップの人だし、病室みたいだけどこの研究所はどこよりもセキュリティはしっかりしてるし、あと林原さんの護衛についている人はホント凄い人だから、そこだけは安心してもらえたら……」  思わずぎゅっと眉間に皺を寄せた。 「よく説明もしない人が信じられるわけないだろ!」    そう言うと阿川ははっとした顔をして、言葉を探すように視線を彷徨わせる。 「瀬能先生には改めて説明するように伝えておくから、後は……」  歯切れの悪い言葉の意味は分かっている。  明らかに瀬能の雑用を任されている阿川に、そこまで意見する力がないのは一目瞭然だ。 「あの、俺は頼りなく思われるかもしれないけど、いい加減なことはしないから」  

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