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晴と雨の××× 20
阿川が俺と瀬能の間に挟まれて一番気まずい思いをしているのは良くわかっているけれど、それでも告げられた内容が未だにうまく飲み込むことができなくて……
自分がそんな訳のわからない存在だと言われたのがショックで……
狼狽えている阿川に、自分の心境や要望をきちんと伝えることができるほど大人じゃない俺にできたのは、怒り出さないように拳を作ることだけだった。
天青海岸に沿って伸びる林は公園と呼ばれていたけれど、見た感じは遊具があるわけでもなくただの遊歩道に思えた。
「ここを進むとまた違う海岸に出るのか……その先が城址か……」
そう呟いて地図アプリから目を上げるけれど、鬱蒼とした林……のような森のお陰でその先は見えない。
ジョギングや散歩をする人がいるために今はそう思わないけれど、夜に人気が無くなるとお化けが出そうだと思う。
登校時はここを通ってもいいだろうけれど、日の傾く時間は使うのはよした方が良さそうだと当たりを見回した。
『新しい部屋が用意できたから、そっち移ってね』
あっさりと言った瀬能を思わず睨みつけたけれど、大人の余裕なのかそれとも予想していたことなのか、瀬能はいつもの胡散臭い笑顔以外は返しては来なかった。
せっかく荷物も広げて、家からの通学路やマンション周辺に店やなんかを覚えだしていたところだと言うのに……
「…………」
昨日、ボディガードがついていると言われた。
辺りを見回してみて、まばらに人はいるけれどもこちらに注意を払っているような人はいない。
誰がそうなのか……わからない気味の悪さと気まずさに足を止めて振り返った。
自分が想像するような護衛はいない。
「せめて、どんな人か聞けばよかった」
聞いたからと言って、誰かに監視されると言う居心地の悪さは変わらないのだろうけれど。
新しく宛がわれたのは川辺のマンションだ。
研究所で一棟借り上げた前の部屋よりも新しい感じはするけれど、セキュリティに関しては大差あるようには思えない。
「ここは林原さんの静脈で開くようになってるから」
引っ越しを手伝ってくれた阿川は部屋の前でそう説明してくれた。
前回の部屋との違いはそれくらいで、後は取り立てて特別なところは見当たらない。
むしろ部屋数が以前のマンションよりも少なくて、なんだか頼りないように思えてしまって落ち着かない気分になった。
「…………」
積み上げられた段ボールを見て……
以前は虎徹が片付けてくれたのを思い出す。
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