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晴と雨の××× 25

「……プライベートな質問だから、嫌だったら無視してくれていいんですけど……相手は同性?」 「え?いえ、いせ……あ、ええと……男女性で言うなら同性です」  そう言われて、そうだったと気が付いた。  今までの生活とはそこからして価値観が違うのだ と。 「……そ、か」 「バース性で言うなら異性なのでオレには違和感はないんですけど、林原さんにはおかしく見えますか?」 「…………」  自分で始めたと言うのに、非常にデリケートな話を振られて思わず言葉に詰まる。 「おかしい とか、おかしくないとかじゃなくて、……ここだと普通なのかな?」 「普通じゃないと思いますよ?」  さらりと返されて思わず足が止まった。  そんな俺を追いかけるように阿川も止まり、ちょっと考えるように首を傾げてみせる。 「普通じゃないと言うと語弊がありますが、つかたる市でもバース性同士でも男女で結ばれる人が多いです。でも別に同性でも問題ないって感じです。同性同士の番はマイノリティではあるけれども、マイノリティと言ってしまうには数が多いですし、何より……まぁ、運命を感じたらそんなの関係ないので」  はは と照れて笑う阿川の感情を、俺はうまく拾うことができなかった。  全然関係がないと思っていたバース性だと言われてこちらに越してきて俺の生活は今までと一変してまったく新しい考え方が必要なことばかりだ。  でもだからと言ってこれまで生きてきた生活の常識を、そうですかって感じで変えることは難しくて。 「うん……運命って、そんなあやふやなもので  」 「いやそれが、意外とあやふやじゃなくて」  俺が失礼なことを言っていると言うのに、阿川はさして気を悪くした様子はない。  むしろ、運命の話になって嬉しそうでもあった。 「もぎ取られてた半身に出会えたような、そんな感覚なんです」  ぱぁっと朱の入った頬を緩めて嬉しそうに話す阿川は、番のことを考えているんだろうってわかった。  その表情だけで、番がいることがどれほど幸せなことかを教えてくれる。 「そん  」 「感覚的なことだし、うまく言葉にできないんですけど、出会った瞬間周りが見えなくなるって言うか、感じるんです。ここで」  そう言うと自分の胸をとんとんと叩き、にこにこと止めることを知らない笑顔でこちらを向く。 「  この人がいなくなったら心臓が止まるんだなって」  あまりにもはっきりとした言葉に、こちらが照れくさくなって俯いた。  こんなにはっきりと言葉にされてしまうと、そう言うものなのかと単純に思えてしまって、眉唾と言うか大袈裟に言われているだけなんじゃないかって思っていたことが現実の大きさになったように思えた。

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