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晴と雨の××× 26

「あはは、なんか恥ずかしいこと言っちゃいましたけど……運命に出会えたってだけで、オレの人生最高だなって思えるくらいの存在なんです!」  両こぶしを作ってハキハキと叫ぶ阿川を見ていると、きっとそうなんだろうなって思う。  思うんだけど…… 「運命ってのが、受け入れがたいものだった場合は……どうしました?」 「えっ⁉」  俺の言葉に阿川は面食らって、明らかに動揺してみせる。 「運命だからって無条件で相手の何もかもが受け入れられるものなんですか?運命に出会う前には、阿川さんにだって好みがあったはずです。背の小さい子がいいとか、綺麗な子がいいとか、優しい子がいいとか……そう言うのはどこに行ってしまうんですか?」 「あ、えっと」  怒り出してもいい言葉だと、自分で分かってはいた。  阿川が、自分の運命に出会えて幸せだと言っているのに、それに水を差すかのようなことを言っているのだから。 「運命だから会っていきなり好きってなるって……」  おかしい の言葉は飲み込んだ。 「おかしいですよね」  けれど阿川から返ってきた言葉は俺が言っちゃダメだと飲み込んだ言葉だった。 「まぁオレだって、会った瞬間にじゃあ番になりましょうってのじゃなかったですけど」 「え⁉てっきりそう言うものだと……」 「あれは、ちょっと大袈裟です!そりゃ……ふいのヒートとかあって事故もありますけど、今は抑制剤もありますし」  聞いていた話では、運命に出会ったら即恋に落ちてゴールインと言うイメージだっただけに阿川の言葉は意外で…… 「いや、まぁ、ぶっちゃけやっちゃいたいって言うか、欲はありますけどそう言うのって相手ありきで、相手のことを思うなら無理矢理とかそう言うのじゃないじゃないですか。自分のそう言った部分を押し退けても大事にしたいので」  一気にそう言うと、阿川ははっと我に返ったように恥ずかしそうにもじもじとして「オレはですけど」と付け加える。 「ああ、そうだ。えっと……好みの話しでしたっけ?うーん……もともとあまり気にしてなかったって言うのもありますけど、そう言うの飛び越えて可愛いって思っちゃったので、しかたないかなって」 「しかたない?」  不穏と言うか、嫌な響きの言葉に眉間に皺が寄った。  バース性によって無理矢理決めつけられたかのようなその言葉に、自然と警戒心が湧く。   「だって、恋に落ちたんですから」  はにかむ顔は、幸せそうだ。  阿川の言葉は俺が思っていた言葉とはまったく違ったもので……    

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