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晴と雨の××× 31

 これから一体……何をされるんだ?  脳裏に浮かぶのは悪の科学者に連れ去られて解剖されたモブの姿だ。 『χ』なんて呼ばれる前は、俺は本当になんのとりえもない、ただの雨男で……  それに俺は、自分自身のことを何も知らない。  情報として『χ』が未分化のバース性だってことしか知らない。  そんなこと、知っているからこそこの男達は俺を攫ったわけで。  それ以上の情報は何も知らない、だから……俺から情報を取り出そうとするならこの体を調べるしかない。 「    」  はく と口を開いても空気が入ってこないことに気が付いた。  男達の手は俺の腕から離れておらず、首の締め付けを強くされたわけではない。  ないのは十分にわかってはいても……  息は吸い込んでも入ってきてはくれない。  犬の息のように、はっはっと短い息が繰り返されて、どんどん苦しさが増して行く。    ひぃひぃと呼吸がどんどん荒くなって行くけれど、両隣の男達は俺の様子を気にかける雰囲気はない。  それは……俺がどれだけ取り乱そうとも暴れようとも揺るがないのだと言うことの証明だ。  そのことに思いいたりそうになる前に、俺は意識を失った。  ざぁざぁと雨の音に起こされる。  俺は、いつもこれを聞いていた。  両親の仕事の関係で一人暮らしを始めた日も、それが寂しいと思った日も、こうやって雨の音を聞いていればその騒がしさに心が慰められた。  俺は、雨が…… 「……ぅ」  呻きながら周りを見渡すと辺りは薄暗く埃っぽくて、建材がばらばらと置かれているのが見えた。  動けないだろうと思われたのか、周りには見張りすらいない。  そう言うお決まりでもあるのか……体はきっちり縄で拘束されていて、芋虫のようにごろりと動くしかできない。  腕も足も拘束されてはいたけれど、あの頭に被されていた袋がないと言うだけで随分と気持ちは楽だった。 「っ……なんなんだ……」    呻くように出た声は上ずって掠れて、言った自分自身が不安になるような心細いものだ。  それに触発されて、体がぶるぶると震え出す。  今すぐここから逃げてしまいたかったけれど足首は少しも動かすことができないほど縛られてしまっていて、これでは歩くどころか立ちあがることも難しいだろう。  もし、俺がここから逃げるとするならば、ごろごろと転がっていくしかない。  そんな状況に震えながらどうしてだか「はは 」と笑いが漏れた。   「どうすりゃいいんだ……」  どうしてこんなことになったのか。  つかたる市に来なければよかったのか、  阿川を追いかけなければよかったのか。    

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