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晴と雨の××× 61
「あ、デバガメじゃないよ?君らの立ち入りを許可している人間として責任があるからだねぇ」
とは言いつつ、そわそわしているのが見て取れる。
「…………いえ、自分達で解決します」
好奇心全開で話を聞くと言われても話す気にはならない。
なのに瀬能はショックを受けたように「え!」と声を上げて縋るようにこちらを見てくる。
「いや、そんな目で見られても」
「いやいや、でも意外と君のちんちん問題にいい案が出せるかもよ?」
「俺のじゃないです って言うかっ」
どいつもこいつも説明する必要ないってどう言うことだ⁉
「要するに、君が入れれば問題は解決しない?」
「は⁉」
「生殖が目的じゃないなら、そこの役割は別にどっちがどっちでもいいんじゃないかな?」
「いや……でも……」
でも……の後に続く言葉が途切れる。
天啓かな⁉
「まーアレを見て萎えるのはわかるから、そこは着衣だよ着衣、いいよー着衣。最近はいろいろ手に入りやすいし、ナース服なら予備を貸し出してあげるけど?」
そんな情報はいらなかったが、そうだ、そう言う手もあるんだって思いながら振り返ると、虎徹がぶんぶんと首を振っている。
そして可愛らしく首を傾げながらもじもじと、
「僕、漢の子だよ?」
と恥じらいながら宣う。
ひらひらとしたスカートの裾を握り締めながら言われてもなんの説得力もない。
それはこの場にいた全員が思ったに違いない。
えへへ と可愛らしく笑ってみせる虎徹に、誰も何も言えないまま沈黙が流れていった。
濃い潮の匂いは湿り気を含まず、ここに来た日に感じた寒さは微塵も感じない。
「あーあ。…………あーあ!」
傍らで砂山を作っている虎徹にわざとらしい溜息を聞かせてやると、やっぱりすっとぼけた顔できょとんと首を傾げる。
目が眩むくらい眩しい日差しの中で、明るい虎徹の髪色が光に透けてキラキラして見えて……
びっくりするくらい平和だ。
「こたくんどうしたの?そろそろお家帰る?」
「もう少しいる」
そう言うと虎徹はまた砂山を作り始めて……
「……」
結局、問題は解決していない。
漢はセーラー服も紐パンも履きはしないと言う説得(?)も意味をなさず、最終的にまたわぁわぁと騒ぎ始めた俺達に堪忍袋の緒を切れさせた食堂の人に「うるさいねん!」って怒鳴られてあっさりと解散となってしまったのだ。
「なぁ、虎徹」
「うん?なぁに?」
虎徹の手は砂山を均していたから砂だらけで、握るとザラザラとしたけれど相変わらず小さくて柔らかい。
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