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落ち穂拾い的な やっぱりこの二人

  「そう言えばですが……」  相も変わらず、どこからか持ち込まれた資料を片付けながらしずるが尋ねる。 「運命の相手って、年の差が大きかったらどうなるんですか?」 「うん?どうもなんないよ?」  その何でもない風な答えに「え?」と返す。 「その……年の近い人が選ばれたりとか……」 「ないない!まぁ、年が近いと行動範囲が近くなって出会う確率が高くなるかもだけど、どうかなぁってとこだね!運命なんてどこに転がってるかわかんないものだし」 「え⁉じゃ、もし、もしですよ?すごくすごく年が離れてたら……」  しずるは自分の番である雪虫が、自分と近い年齢であることが奇跡なのだと思いついてぎゅっと息を詰める。 「だから、アルファの方に予備がいるんじゃないのかな?」 「……」  自分の番に、もう一人運命の相手がいたなんて腹立たしいことを思い出したくなくて、しずるはそろりと息を吐きながらむっと唇をひん曲げた。  けれど、せっかく出会ったとしても相手を置いて逝かなければならないことを考えると、それも長くは続かない。    「昔、自分の子供が運命の相手だって言ったやつもいたんだよ」 「へ⁉運命の番の条件が遺伝的に遠いことって……」 「まぁそう言われてるけど ね」  瀬能の言葉は歯切れが悪い。  正直なところを言ってしまえば、その確率が高いと言うだけであってそうとは決まっていないし、それだけで運命の相手だと言ってしまえるとは決まっていない。  何がどう作用して、運命としているのか……そこは今でも不確定要素を様々に含んだ問題だ。 「そ、その……自分の子供がって人は……どうしたんですか?」 「    」  瀬能はちょいと片方の眉を上げて眇めるようにしてしずるに視線を遣る。 「君、ちゃんと勉強してるのかい?」 「へっ⁉……っし、してますっ……よ……」 「おかしいなぁ、渡した本の中にこの話の記述もあったはずなんだけど?」 「……すみません、読んでないです」  ふうと溜め息を吐いて、瀬能は椅子の背もたれに体を預けてギィギィと鳴らす。  言葉を探しているような……それとも選んでいるような素振りに、しずるは急かすことなくその先の言葉を待った。 「  まぁ、運命相手だからね」  絞り出された言葉はそれだけだった。  運命だから?  自分の子供なのに? 「  それは……番にしたってことですか?」 「    」  瀬能は苦いものでも口に入れたかのように顔をしかめる。 「それだけだったらよかったけどね」  そう言うとデスクの上の本の束から一冊を抜き取り、しずるに差し出す。  突きつけるようにされたその冊子には、『オメガシェルター襲撃の全て』と題名が書かれていた。 END.

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