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雪虫3 7

「抑制剤で、あんたのフェロモンが消えてやっとわかった。そこ、マーキングされてる」  ぶるりと震えながら、みなわの視線が腹へと落とされる。  今にも折れてしまいそうなほど薄い腹に咲く花を見て、困惑の表情を零す。 「そこ、に、何を入れてるんだ?」 「な、に  ?」 「なんかが入ってるだろ」 「はい  って?」  オレの言葉をただただ繰り返すみなわはこんな状況だと言うのに呆けて見える。 「……その……マーキングした奴に対して拒絶感はあるけど、少なくともあんたにはないよ」  みなわの言葉を否定するために告げた言葉だけれども、それを認めてしまうと今度はオレが混乱しなきゃならなくなって……   「なに 言って……しずるは、うちの赤ちゃん   」 「  」 「やって、和歌が言うから  」  繰り返される男の言葉は、盲目的にそいつを信じている証拠だ。   「そいつ、信用できるの?」    ぽつん と出た言葉は意識して出したものなんかじゃなかった。  なのにどうしてだかはっきりとした形を取ってしまっていて、みなわは聞き逃してはくれない。 「しん よ  やって、やって!和歌はっ和歌はうちのうんめい   っ」  続けられた言葉にしん と沈黙が落ちる。  まるで禁忌の言葉でも漏らしたかのような居心地の悪さに、みなわの言葉も途切れた。  その雰囲気に怯えるようにみなわは縋る視線を向けてくる。 「そいつは、運命なんかじゃない。……自分のオメガをこんな目に遭わせるアルファなんているわけない」  ヤのつく職業の人間に対して足止めに使うなんて、そんな命の保証もされないことをさせるなんてαとして信じられない。  守ってやりたいって、  傍に居たいって、  そう思うものだと思うし、それを手放すなんて正気の沙汰じゃない。 「そん それはっ  うちを、しずるに会わせるために  っ」 「会うだけなら、雪虫を攫う必要も何もないだろ。別に監禁されてるわけじゃなかったし」 「お 大神に  掴まってるて  」 「それって、けっこう最近の話だけど。それも別に  」  待遇は悪くない。  殴られるわけでも、ヤバいことをさせられる訳でもなし。  食事も摂れるし、なんなら教育まで受けているんだから高校を辞めなくちゃならなかった生活から比べたら御の字だ。  何せ、雪虫にも会わせてもらったし。 「さい……?」  ぽかん と言葉を返すみなわの前に大神が進み出る。 「その『和歌』の情報を喋れ」 「っ⁉ ……っうちが知ってるのは  なんも  」  その言葉と、耳元でひゅっと音が響いたのはほぼ同時で……  瀬能の足元に吹き飛ばされたオレは事情が呑み込めないまま床から大神を見上げる。

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