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雪虫3 23
予想としては、まぁ研究のモルモ……じゃない、協力してくれる人なのかな?ってのは思うけど、それ以上はわからない。
瀬能はオレに、自分の研究の手伝いをって言ってるけれど、瀬能がどんなものを研究しているかも何もまったく教えられていない状態で、時々訳のわからない実験に駆り出される程度で内容は全然知らない。
そんなことで給料を貰っているって言うのも居心地悪いし、自分が全然役に立たないって言われているようで居心地が悪くて、もう少しちゃんとした仕事がしたいと思う。
「 と」
そろりと覗き込んだ食堂の端には、まだわいわいと話している集団がいる。
Ωが数人と、βが数人、αはいないようだ。
そんな中で……雪虫は一際可愛い。
Ωは人目を引く容姿の奴が多いけれど、その中でも雪虫は群を抜いて可愛い。
マジ可愛い。
語彙力無くなるくらい可愛い。
「……あっダメダメ、お茶だ」
はっと首を振り、会話の邪魔をしないようにそっとカウンターへ行ってお茶をお願いする。
できるだけ雪虫たちの邪魔をしたくなくて気配を殺したつもりだったけど……
「しずるっ!」
番がお互いこの距離で気づかない なんてことはなくて、雪虫がぱっと弾かれたようにこちらに向かってくる。
「雪虫!走っちゃだめだって」
「ぁ、う」
オレからしてみたら歩く程度の速さなんだけど、雪虫からしたら全速力だ。
その勢いで椅子やテーブルにぶつかったら怪我をしてしまう。
やっと熱が下がって動けるようになったんだから、またベッドの上の住人になるようなことは避けたい。
「しずる!」
「ん、おはよ」
「きょう、おそかった?」
「あー……うん、ちょっと瀬能先生の方に行ってたから」
そう言うオレの言葉に、雪虫はぷく と頬を膨らませる。
「ごめんって。ほら、皆とお喋りしてたんだろ?戻らないと」
「でも 」
「この後、また先生のとこに行かなきゃだから」
「……」
冬の青さを滲ませる目が真っ直ぐにオレを見上げて、物寂し気にふるりと揺れる。
可能なら、ずっと抱き締めて生活していたいけど……
「さびしい思いさせると浮気しちゃうからねっ」
「へっ⁉」
つーんと拗ねたような表情で言われて慌ててセキの方を見る。
オレと視線を合わせないようにしている辺り、入れ知恵したのはセキだろう。
なんてことを教えるんだっ!
「あいつっ」
「あっ!セキじゃないっセキじゃないよ!」
その言葉は肯定しかしてないじゃないか。
じろっと睨みつけてやると、セキは慌ててうたを盾にする。
オレがうたを苦手だって思ってるのがバレているみたいで、しかたなく視線を雪虫に戻した。
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