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雪虫3 24

 銀に近い金髪を掬って耳にかけてやると、くすぐったそうに笑うから……  抱き締めたくてたまらなくなったけど、ぐっと堪えてその可愛さを目に焼き付ける。 「はぁー……可愛い……」 「?」  きょとんと見上げてくる表情も可愛くて、言葉に言い現わすことのできない愛おしさに胸を絞めつけられながら渋々瀬能の部屋へと向かう。  ノックをしてから部屋に入ると、御厨と呼ばれていた人物がソファーで青い顔で俯いている。  入った瞬間に分かるくらい緊張で張り詰めた空気に、さっと瀬能に視線を向けた。  こちらは……相変わらず考えの読めない胡散臭い笑顔だ。 「失礼します」  声をかけてからそろりとお茶を出すも、御厨はオレに気づいているのかどうか……細い手が両方ともぎゅっと握り締められたままで、わずかな反応もない。  オレがお茶を取りに行っている間にどんな話がされたかは分からなかったけれど、いい話ではなさそうだ。 「    それで、私にできることは?」 「そうですね、……支えてあげてくださいとしか」 「…………」  瀬能の言葉を受けて、御厨はほっとしたような気配を纏って拳をわずかに緩める。 「ただ、こちらとしても最善を尽くしますが、今現在では結果を保証することはできません」 「……はい、……もともと、そう言うものだと思っていますから」  そう言うと御厨は首の後ろを気にかけるようにして手を遣った。  シャツから覗く番の証と言うにはあまりにも痛々しい歯型に、大神からの助言で指を間に噛ませないと雪虫の項もああなっていたのかと思うと胸の内がひやりとする。   「オメガが番ってしまったら……もう覆せませんから」  寂しそうに言うと、御厨は深く頭を下げて「よろしくお願いします」と告げた。 「御厨さん?も瀬能先生の研究のお手伝いするんですか?」 「お手伝いって言うかモルモ  じゃない、協力してもらうんだよ」  この人今、モルモットって言いかけた!  瀬能と認識が一致していた なんて嬉しくない事実に苦笑しながら、瀬能がくるくると回す指先を目で追いかける。 「なんの研究ですか?」 「あー……うん、番契約解消」  なんて事のないようにぺろっと答えてくれるけれど、それは今までバース性の歴史の中で達成されたことのないことだった。  瀬能がそれを目的としていろいろと行動を起こしているのは理解していたが、実際に人で試すとなれば話は別だ。 「えっ……できるんですか?」 「できるんですかも何も、アルファからの番解消はできるだろう?」 「あれは……番解消って言っても、ただ離れるだけじゃないですか」  

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