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雪虫3 32
オレが触れている雪虫の胸は逆にひんやりと冷たくて心配になるほどだ。
でも、これがいつもの体温だって言うのがわかっているから、暖めるようにそっと包み込む。
華奢な体はオレの手だけでも覆ってしまえるほどで、オレに瀬能の言葉を思い起こさせる。
『自分の命を支えることすらおぼつかない』
それが何を意味するのか考えただけでも震え出しそうで、思考を逸らすためにそっと指先に力を込めた。
滑らかな絹よりももっと繊細な……
「ぅ ん 」
「痛い?」
「……あったかくて、きもちいい」
照れたように言ってくれた言葉が嬉しくて、柔らかく指を押し上げているピンク色の先端を指の腹で優しく撫でる。
ゆっくりと、
ゆっくりと、
絶対に乱暴にならないように……
「んっ」
オレの指の動きに反応してか、ゆっくりと硬さを増して行くそこにむしゃぶりついて、吸って、転がして、歯を立てて、思う存分愛で倒したいと言う欲望はあるけれど、雪虫のことを考えるならそんなことはどうでもいい。
雪虫には気持ちいいことや幸せなことだけを感じていて欲しくて、理性を総動員しながら乳首を育て上げる。
「 っ、くすぐった い」
そう言いつつも雪虫の息は微かに弾んで、白桃のような頬の赤みが増している。
「くすぐったい?だけ?」
「ん、んん……ん、ムズムズする」
「うん?」
あまり同じ個所を擦り続けても良くないだろうと手を離すと、名残惜し気に雪虫の視線が手を追いかけて切なげに細められた。
「しずる、もう触ってくれない?」
「うぅん!そんなことないっけどっ……他のところも触りたいから」
「ほか?」
「ムズムズするって言ってたところどこ?」
オレの問いかけに雪虫は恥じらうような素振りを見せた後、躊躇いがちにオレの手を取ってそろりと腹へと導く。
いや、腹と言うよりはその下の……
「しずるが入ったとこ、が……ムズムズする」
潤むとまるで凪いだ水面のように見える瞳に見つめられて、心は穏やかになるのに心臓はドクドクと酷い音を立てて暴れる。
この、目の前の自分のΩが、自分を欲しがっているのだ、と。
そう思うだけでくらくらと眩暈を起こしてしまいそうだ。
組み敷いて全てを曝け出させて、恥もすべて投げ出させてその最奥を愛でたい。
体の隅々まで愛撫して、舐めて食んで、堪能して、オレを求めているソコにすべてをぶちまけて、オレの匂いを擦りつけたい。
犯して、
孕ませて、
オレのだって……
「! し、しずるっ!」
「へ?」
焦った雪虫の声にはっと意識を引き戻されて目を瞬くと、赤いものが手の甲に広がるのが見えた。
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