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雪虫3 41

 シュレッダーと言われて、ガーッとかけてしまうのを躊躇う程の豪華さに……ホントにいいのかと目で窺う。 「いいのいいの。ちょくちょく送ってくるものだから、無視しといていいよ。毎回おんなじ内容なんだから」 「はぁ?DMみたいなものですか?」 「まぁそんなところだね」 「そんな風には見えないですけど……ガチのシーリングの手紙なんて初めて見ましたよ」  そう言うと瀬能はぷっと噴き出す。 「じゃあ記念に持ってくかい?」 「いや、いいです」 「そう?ルチャザ国王からの直筆の手紙だよ?」 「────っ⁉は⁉今なんて言いました⁉」 「王様からのお手紙なんだよね~」 「やっそんな大事なものシュレッダーにかけちゃダメでしょ⁉」 「いらないよ~毎回おんなじ内容だから返事を出すのもしてないし」 「なんてことしてんですかっ」  瀬能がオレの手から便箋を取ってひらひらと動かすから、ぐしゃっと紙が歪んで不似合いな皺ができてしまう。  それを慌ててやめさせて一生懸命皺を伸ばしてみるけれど……  パソコンで作ったのかってくらいキレイに書かれた文字が歪んでしまっている。 「いやだって、その紙硬いから鼻もかめないよ?」 「そう言う問題じゃないでしょっ!これ外交問題とかにならないんですか?」 「なるならとっくになってるよ~」 「一体何したんですか⁉」 「何もしてないんだよ」  そう言うと瀬能はぱちんと綺麗にウインクしてみせる。  じじぃのウインクなんて見たいものじゃないと言ってしまいたいけれど、雇われの身としてはそうもいかない。 「はぁ……もういいですよ。他に用事はありますか?」 「うーん、今日はもういいかな?」 「じゃあ帰ります」  はきっと言うと流石に瀬能が苦笑する。 「いつものことだけど、今日は一段と早いねぇ」 「……そりゃ、お見舞いにも行かないとって思ったので」  あんな形で泣き落ししておいて、後は知らんぷり……なんてできない。  せめて一度くらいは顔を見に行っておかないと寝覚めが悪いってもんだ。  ついでに汚れ物とか必要なものとか聞いて、揃えて持って行かないと……って思ってる段階で、一度じゃすまないのは自分で良くわかっている。  本当は、嘘を吐いているんだから顔なんて見せない方が良いのはわかっているんだけど…… 「健気だねぇ」 「そ、そんなんじゃないです」 「んじゃあ見舞いがてら、彼から色んな話を聞いておいてよ」 「?……そう言うのは聞いたんじゃないんです?」 「ああ言うのじゃなくて、もっと身近な話だよ、育った環境とか家族構成とか」  明らかに仙内とは関係のない内容に首を傾げる。

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