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雪虫3 48
そりゃオレだって手放しで据え膳をいただきたいって思いはある。
現に雪虫の尻に当たってて、そのお陰でオレのナニは今にも暴発しそうだ。
押しつけられているふわふわとした柔らかい尻に刺激されて、できるなら今すぐ押し倒してどうこうとか考えなくもない程度には、オレは健全なオトコノコだ。
好きで好きで、やっと番になれたんだから、あーんなことやこーんなことをしたいって思うのは当然だろう。
瀬能や大神に言うと鼻で笑われそうだけど、二人でこうやっていられるなら何を言われたって許せてしまくらい、今は浮かれている。
でもそれと、雪虫が色んな知識を仕入れてくるのは別の話で。
雪虫の世界が広がるのは……うん、いいことなんだけど妬いてしまう。
「だめだった?」
「ダメなわけないだろっ!ダメじゃなくて……いや、今は、今だけ、ホント今だけダ……っ!」
腕の中の雪虫がびくんと跳ねる感触がした。
どうして急に って考える必要もないくらい、原因はわかっている。
「あ゛、ごめ 雪虫、ちょっと……離れて……」
オレの言葉に雪虫は素直に上から退いてくれるけれど、物悲しくてつい視線で追う。
「しずる、ティッシュ」
「あ゛……ん、ありがと」
差し出されたティッシュを取るために体を捻るとボタタと赤い雫が床に落ちて行く。
あー……やっぱこれだ。
ここのところ立て続けに鼻血を出し過ぎたせいで、ちょっと興奮するとすぐ鼻血が出るようになってしまっていた。
鼻の中の傷がきちんと治りきれば問題ないよって瀬能には言われたけれど、正直……雪虫といて興奮しないわけないんだからっ!無理っ!
いろんなことしてイチャイチャしたいなって思うけれど、あんまりやりすぎると今みたいに鼻血を噴いて中断って状態だった。
鼻に詰め物して続行もできたけれど、そんなムードのないことはしたくないし、雪虫にも心配をかけてしまうから……
「しずる、だいじょうぶ?」
「ん、平気平気」
実際、血が出るだけで痛みもないんだから。
でも見ている雪虫にはそうでもないらしくて、こんな状態になる度におろおろと狼狽えさせてしまって申し訳なさが募る。
もっと、カッコよくスマートに雪虫にはいいところだけ見せたいって思うのに、うまくいかないのはホント情けない。
「もっとカッコよくなりたいなぁ」
「しずるはもうカッコイイよ?」
「っ!……雪虫はめっちゃくちゃ可愛いよ?」
そう言うとふにゃっと可愛く笑ってくれるから……オレの鼻血はもう暫く止まらないんだろう。
END.
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