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狼と少年 5
女性ものではないのか前部がゆったりと作られているため、可愛らしいふくらみが行儀よく鎮座しているのがよくわかる。
少し力を入れて引っ張れば千切れてしまいそうな造りのそれに、大神は眉間の皺をさらに深くして小さく唸った。
「ここ、もう大神さんサイズに馴染んじゃって他の人のなんか入らないですよ?」
そう言いつつセキが体をずらして足を開く素振りを見せたために、一際白い肌が空気に触れる。
「オレのが入るならなんだって入るだろう」
「そっそう言うんじゃなくてですねっ」
ぽこっと胸板を叩くと、セキはくるりと身を翻して飴色のデスクに突っ伏してみせた。
自分の方へと向けられた丸い尻に大神がどんな顔をしているのか、セキには見えなかったけれど大体の想像はつく。
「お まえ、はっ」
珍しく取り乱したような声にセキはくふふと笑って尻たぶを左右にぎゅうと引っ張る。
そうすると秘されていた最奥が拡げられて……
慎ましい窄まりを無理矢理に押し広げる無機物が、異様な存在感を放ってそこにいた。
「ぁ……大神さ……んっお願い、抜いて?」
「ぬ っな、 っ」
呻き声だ。
大神はそれだけを漏らし、これ以上ないほど眉間に皺を寄せて椅子に向かって体を投げ出す。
大きく頑丈そうな椅子だけれど大神の重量を受け止めるには心許無かったのか、ぎぃと悲鳴のような音が上がった。
「…………」
「なんだそれは」と言葉が漏れそうになって飲み込む気配がする。
同じ言葉を繰り返す気がないのか、それとも返事を聞いたところで困惑するだけだからなのか……どちらにせよ、大神は何も言わずにむっと唇を引き結んだままだ。
「あの……大神さん?」
なんの反応も得られなかったためか、セキはじわじわとせり上がってきた羞恥心に耐えるように赤い顔で振り返った。
デスクの上で、半裸で尻を人に向けていると言うことに、今更に恥ずかしさを感じたのかすごすごと姿勢を正すとシャツを手繰り寄せて胸の前で握り締める。
「えと……」
「……」
「準備 済み、なん です けど……」
もじもじとそう言葉にすると、改めて自分のあられもない箇所に入れた異物の存在が浮き彫りになって、セキは恥じらって俯く。
大神に自分がどう言う状態なのか見せるまではあれほど浮かれていたのに、今の状況ではそんな気持ちも萎んでいき……
冷めた頭には、極太のディルドを咥え込んで仕事机の上で半裸になっている自分の滑稽さは毒のようだった。
「あ、ぅ、オレ……」
準備万端にして、期待に立ち上がった乳首を見せつければ大神からなんらかの反応がもらえるとばかり思っていたセキは、むっつりと押し黙ったままの態度に耐えきれずに床に落ちたスラックスを拾う。
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