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おはようからおやすみまで 4

「だいじょーぶ?」 「だっだい……大丈夫、だ」    それでもまだケホケホしてるから、お水を持ってきて傍に置いた。 「……っ……っ」 「番、に、なりたい」 「……っなりたいって言ってなれるもんじゃねぇだろっそんな単純に考えるな!」 「ヒートが来た時にエッチしながら首噛むんでしょ⁉全然っ単純だろっ」 「そう言うことじゃねぇよっ」  話が通じないとばかりにぷぃっとそっぽを向いて頭を乱暴に掻いて……  オレの話は聞いてくれなさそうだ。 「オレとっあきはっ恋人同士なのにっ何の問題があるんだよっ」 「っっ!  ────────」  お茶を噴いたせいで赤くなった唇がぎゅっと引き結ばれて、答えはなかなか返って来ない。  その沈黙に、ひやっとしたものが胸を引っ掻く感覚がした。  何歳とかって聞いたことはないけど、オレよりずいぶんと年上なのはわかる。  ヤのつく職業じゃないって言ってるけど、やってることはそうでもおかしくないような仕事で、綺麗なお姉さん達ともたくさん知り合いがいるのは知っている。  それから、αで、それから、……  面倒見がいい……くらいしか、知らないことに気がついた。    お茶が薄い方が好きって言うのは知ってるけど、オレはびっくりするくらい藪秋のことを知らないんだって……  藪秋が借金の回収を仕事にしていて、オレはそんな対象で……逃げにくくするために関係を持ったのかな とか、あり得ないことを思わせるには、藪秋の沈黙は十分だった。 「   ────────そうだよ」  がばっとタオルを押しつけた顔面から、漏れるように聞こえた答えは、一瞬で地の底まで行っていたオレを引き上げるには効果てきめんで…… 「こ、恋人だよねっ⁉」 「  そうだっつってんだろっ何度も言わすなっ」  威嚇するような低い声だったけれど、そんなことどうでもよくって、思わず全力で藪秋に飛びついた。  ゴン って藪秋の頭がフローリングで跳ねたけどそれはどっかにおいといて、もう!オレは藪秋が言ってくれた言葉が嬉しくて嬉しくて力の限りがっしりとした体にしがみつく。 「 っ! ~~っ!」  ぎゅうぎゅうにしがみついた藪秋から、もごもご声が聞こえたけど気にしない!  オレはっ嬉しいしっ!抱き締めたいっ! 「ぷはっ!息できね   っ!」  息を吸うために大きく開いた口に飛びついて、押し返される前に舌を入れて藪秋の咥内を探る。 「っ、お、……こらっ」 「んっ、んんっ」  ちゅうちゅう吸いついて、煙草の苦い味のするざらざら舌を誘うように、尖らせた舌先でつんつんとつつく。  

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