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おはようからおやすみまで 16
「なーなー?もしかして、金ねぇの?」
「はは、金なんてずっとないっすよー!知ってんでしょ?」
へらへらと笑ってみせるけれど、先輩のこっちを見る目つきの不穏さにさっと視線を逸らす。
そうでもしないと、気分が悪くなるような嫌な視線に捕まる と思ったからだ。
「そう言う金じゃねよ」
先輩はそう言うとなんの遠慮も無しにオレの顎を掴んできた。
飯がまともに食えなくて皮膚の薄くなったそこに、きつく指先が食い込んで涙が出そうなほど痛い。
「飯食えないくらい金ねぇんだろ?」
「や、先輩、なに 」
こう言う人間は、人の弱みを嗅ぎつけるのが得意だ。
「金、やろうか?」
「……」
見下ろされて告げられた言葉に素直に飛びつくほど世間知らずじゃなかった。
何を代わりにさせられるのか、息を詰めるようにして窺う。
「俺のち〇ぽちょーっと舐めたら、飯代くらいやるよ?」
「……は?」
いきなり、フェラしろ と言われて理解できずに低い声が出た。
その瞬間────
「っ⁉」
ゴッ とこめかみのあたりを殴られて、なんの構えもできていなかったオレはその勢いのままに体育館の壁にごつんと額を打った。
瞼の裏に散った火花が消える間もなく、先輩の手がオレの髪を鷲掴んでぐいぐいと壁に押しつけてくる。
「いいバイトだろー?ちょーっと口ま〇こ貸すだけで飯が食えるんだぜ?」
「ちょ っ飯、が、食えるって言ったって……」
男のモノを舐め回せと言われて頷ける勇気はない。
「や、やめてくださいよ オンナ、探してきま ぃっ」
ぎゅうっと髪を握る手に力を込められて悲鳴のような声が出そうになる。
「ほら、いいバイトだろ?」
喉の奥で低く唸るような声は、提案している言葉なんかじゃなかった。
どこをどう舐めれば気持ちイイとかそう言う知識は一切なくて、ただ先輩が喉の奥まで汚いモノを押し込んでくるのを泣きそうに……いや、実際泣きながら受け入れた。
オレがうまく舐めないからだって言う先輩の動きは容赦がなくて、ガンガン自分の好き勝手に腰を振っては歯を当てるなと怒鳴りつけてくる。
口の中だけじゃなくて、鼻の中いっぱいにまでくっさい臭いが充満するから目が回って気絶しそうだった。
ひたすら拳を作って、耐えて耐えて……生臭い精液を喉の奥に出された時には、気持ち悪さで今にも吐き出してしまいそうになった。
「ははは!お前へったくそ!」
「げほっ……っげほっ……だ、やったこと、なんて、……っ」
ぼろぼろと泣きながら言うオレに、バシ と投げつけられたのは五百円硬貨だ。
オレの顔に当たって、ころころと転がって足元に収まる。
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