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おはようからおやすみまで 17

 鈍い銀色の光を、呆然と眺める。 「コレ……」 「今回の報酬な?」 「なっ……昼飯代って  」 「学食だったらそれで定食が食えるだろ?」  だとしても だ。  口の中に広がる不快な味と、繰り返し突かれたせいで感覚のおかしい喉と……  殴られて、髪を引っ張られて、顔はぐちゃぐちゃだし、五百円とされるにはあんまりだ。   「そん  」 「時給で考えてみろよ?割のいいバイトだろー?」 「割とかじゃなくて っすね」    ふつふつと湧き上がってくる怒りに、思わず睨みつける。 「それに、オメガの賃金なんだからこれで十分だろ?」 「……は?」  思わず、さっと首元を押さえた。  オレはΩだけれど、発情期が不定期で滅多に来ないから首輪をしていない。 「な、な……なんで……」 「なんでって、ははは!マジでそれ言ってる?お前どっからどう見てもオメガだろ!」 「っ⁉」 「金髪にしてイキってるけどさ?バレバレなんだよ、俺達アルファの間じゃ さ」 「ちがっ別にイキりたくて金髪になんか……っ」  突き飛ばされて、よろけるように倒れ込んだオレを見下ろす目はαの……支配者の目だった。  ごぼ と喉に出された精液を飲み込め切れず、思わず仰け反るようにして離れて咳き込む。 「ほら、今回分。お前もうちょっとうまくなれよな?」 「  げほっ、さ……さーせん……っ」  呻くように言って、咳に紛れて吐き出せる精液を吐き出す。  青臭い、つんと鼻に来るような、嫌悪感しか湧かない、ソレ。 「はー……つってもなぁ。そういや、お前、ヒートいつ?」  ぐっと喉に絡んだ精液が詰まるような気がした。 「……は?なんすか……」 「オメガのヒートってイイってくし?お前もたまにはいいもの食いたいだろ?」  そう言うと先輩はごつい長財布から五百円を取り出してにやにやと笑う。  その笑顔はさっき欲望を発散した人間のものとは思えないもので…… 「オレ、不定期なんっすよ。つーかほとんど来ないんで」 「ああ?んなわけねぇだろ⁉オメガのクセに」  言葉が喉元までせり出したけど、なんとか飲み込んでへらりと笑う。  Ωだから、発情期があって当然 なんて、そんな決めつけに頭を押さえつけられているような気がした。   「あっても数時間くらいなんっすよね」 「はぁ⁉んだよそれ、使えねぇなぁ」 「…………」  使えない とは、先輩はオレをどう使おうとしていたのか……考えるとそれだけでぞっとする。  発情期を狙ってΩを襲う話は良く聞くことだったけれど、発情期自体がほとんどないオレには関係のない話だとたかをくくっていた。

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