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赫砂の失楽園 33
酩酊を感じるほどの口づけは甘くて甘くて……男の唾液をすするたびにくらくらと目が回るようだった。
「きも ち、いー……」
太ももががくがくと震えて、男との間でこすられていたオレのナニの先からぴゅくぴゅくとねばつく液が伝い落ちる。
「ハジメは口づけが好きか?」
「ん、ん…… 」
好きか と問われれば好きじゃない。
挿入行為と同じでキスだって金銭目的の行為でしかないわけで……
唇の柔らかさも熱も、粘液がこすれあうのも心地よいと思ったのは今回が初めてだ。
好きな相手との行為は気持ちいい と聞きはするけれど、そんな生活からは程遠いオレには、キスが気持ちいいなんて一生関係のないものだと思っていた。
「ふふ、好きそうだな」
「 ぇ?」
射精と言うにはあまりにも少ない量だったけれど、オレが甘イキしたのを教えてしまうには十分な量の液体が男の腹に伝っている。
それを指先で弄ぶようにして、男はひどく嬉しそうだ。
「でもそろそろ爆ぜそうだ」
「はぜ……っあ、っ……も、もうイキますか?」
お互いの唇から伝う銀色の色がぷつりと切れた衝撃ではっと我に返る。
オレが、今、しなきゃいけないことは、この男をイかせることだ。
「じゃ、んっ……うご、きます 」
「違う」
さっと大きな手がオレの腕を掴んで押し倒してくる。
「ぁ゛っ、ンんっ!」
ナカにギチギチに詰め込まれた男のナニはそれだけでオレをよがらせるには十分だった。
出すことは堪えたけれど、あふれた雫が腹の上にぽとぽとと落ちる感触を感じて……
「な゛、なに、す っ」
体中が敏感になって、シーツのこすれだけで体がしなるほど気持ちいい。
「すまない、だが急がないと、はぜ……んー……破けてしまうぞ?」
「 ────⁉」
「私はそれでもかまわない」
「は……何、言ってるん で、 」
「君の中で私の種を出して、それが芽吹いてくれたらこの上ない幸せだ」
男の物の言い回しが一瞬理解できず、ぽかんと口を開いた瞬間にまた噛みつくようなキスをされた。
無遠慮に入り込んだ舌に上顎をこすられて、そこで自分が感じるんだとどうでもいいことを思いながら男の言葉を繰り返し理解しようと努める。
「 ゃ、あ゛っ ぬ、抜い、 ゴム、ゃ゛っ付け替え っ」
蹴り上げて抵抗しようにも男の腰はしっかりオレの足の間に入っていて、ささやかな反抗にもならない。
男の腰がゆっくりと動いて引き抜かれると、それにつれて内臓が引っ張られて重苦しいような感覚がするのに、ぞわぞわと這い上がる快感が駆け上がってくる。
抜いてもらわないといけないはずなのに、自分の意思とは関係なしにナカが男を引き留めようと精一杯絡みついて追いすがっている感覚がした。
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