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赫砂の失楽園 74
あんな目に遭わされたと言うのにアルノリトの唇を迎え入れるなんてするはずないのだから……
床に引き倒されて、もうベッドに行くなんて理性はどちらの頭の片隅にも存在しなかった。
ただただ獣のように絡まって、息をするよりもキスをしないと生きていけないのだとばかりに、お互いの唇を貪っては激情のままにごろごろと床を転がる。
固い、レンガ造りの床にはかろうじて絨毯は敷いてあったけれど、それは酷く薄っぺらたいもので、牢屋の中に敷かれていた絨毯の方がはるかに分厚かったし高級に思えた。
薄いカーペットはオレ達が転がる度にずれて皺を刻んで、まるで一塊のうずくまる動物のような形になってしまう。
それでも、オレ達はキスを止めることができなかったし、擦り付け合う下半身の熱に浮かされるように一心不乱に互いの体を堪能し続けた。
長大で、いっそグロいと表現してしまってもいいようなアルノリトのモノを、けれど従順に体内に収めた時はどうしてだか至福の気持ちに突き動かされた生理的な涙が溢れ出たほどだ。
お互いの腕に触れる部分、密着しているところ、離れる隙間もない体、絡み合うお互いの意思。
そのすべてが頭を真っ白にするほどオレを満たして、アルノリトが男っぽく笑いながら愛おし気にオレを見下ろすことに、胸がいっぱいになって言葉を継げることもできなかった。
一度精を吐き出して項垂れたアルノリトのモノが体から抜けてしまった時は、思わず追いすがりそうになってしまったほど、お互いの隙間が憎くて仕方がなかった。
「ハジメ、口づけを許しておくれ」
「……ん」
そうすれば再び君のナカに入れるから……と言われてしまえば、オレに否はない。
繰り返し唇をこすり合わせて、息苦しさに大きく喘ぎながら互いを見つめ合い……
黄金色の肌とはよく言ったものだと、アルノリトの首元から舌先で舐めていく最中に納得する。
言ってしまえば本当にただの小麦色の肌なのだけれど、アルノリトの綺麗についた隆々とした筋肉に光が当たると、美しい黄金色に見えて……
後宮から見た砂漠を思い起こさせる。
馬乗りになって眺めながら、張りのある胸にリップ音を零しながら幾分固い色味の頂にキスしてやると、驚いたのかはっとアルノリトは口を開いたのが見えた。
乳首を弄るのを止めようか、どうしようか……と言ったところだろう。
そこで伺ってやることもできたけれど、オレはあえてその願いを無視してちゅうっと固い乳首に吸い付く。
「は ぁ 」
漏れるのは男っぽく悩ましげな溜息だ。
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