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赫砂の失楽園 95

 蹂躙されつくした乙女のように、一粒の涙を零してアルノリトは真っ赤な顔をオレに向けていた。  屈辱とでも言いたげな、それでいて気持ちよさに抗えないような表情はきっとこの男の人生でしたことのない表情だろう。  そう思うと、胸の奥がくすぐったくて…… 「次は、なぁ?こっちにくれるだろう?」  あれだけの量を吐き出しておきながら、指先にあるモノはまだまだ猛りの片りんを見せている。  指先で掻くようにしながら言ってやると、むっと唇をへの字に歪めてアルノリトが体を起こす。 「ハジメが欲しがるなら幾らでも」  きっと挑むような顔でのしかかってくるアルノリトは今までで一番αらしい顔つきをしていた。  ギシ とさすがに酷使しすぎたのかソファーが微かに呻きのような音を立てる。  オレを抱え込むようにして覆いかぶさったアルノリトはピクリとも動かないままだ。  わずかの隙も無いほどしっかりと密着されて呼吸すらもままならないほどなのに、その重さと体温と……それから腹の中に吐き出される熱が愛おしい。 「  っ……、っ  ……」  小さく呻きながら欲を吐き出すアルノリトのモノは根元が膨らんでいて、それが食い込むようにオレを穿っていた。  長い長い射精に、瘧のように体の震えが止まらない。  体内を舐めながら満たしていくその行為がいつまでも続けばいいのに と、ぼんやりとした思考で考える。 「 っ、ハジメ  」  飛びそうになったオレの意識を戻そうとしてか、アルノリトが額に口づけを繰り返して自分を見るように促してくる。  それが、ひな鳥が懸命に親鳥に餌をねだっているかのように思えて、思わず口元が歪んだ。 「ふふ 」 「? どうした?」 「ひな鳥みたい」 「ハジメを啄まないと私は飢えて死んでしまうよ」  あむあむと頬を食まれてくすぐったさに身をすくめた。  その度に体の中にあるアルノリトがビクビクと跳ねる感触がして……体内に他人のいる心地よさがあるのだと初めて知った。    オレがフラフラの体に鞭を打って弟達が案内されたと言う部屋に到着した時、四人は……と言うより流弐が参人を守るように背後に庇ったままじっと息を潜めた状態だった。 「流弐!」  こちらを見てやっと緊張がゆるんだのか、色の無くなった顔色をほっとさせて目に見えて体の力を抜くのが分かった。  そりゃそうだ、もしかしたらオレの時のように気づいたら……的に連れてこられたのかもしれない。  まだ何もわからない良伍はともかく、残りの二人もいつもの活発さはかけらも見られない。    

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