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落ち穂拾い的な 鐘

 あのアパートで生活させるには不安があると譲らないアルノリトが、無理やりオレ達をホテルに移動させたのは数日前のことだ。  一変した生活にも、カイ達に世話を焼いてもらうことにも慣れたことで、やっと少しいろいろなことを考えることができるようになってきた。    その中で、どうしてもアルノリトに尋ねることができなかったのは、ホンザのことだ。  鐘は鳴ったと言っていたことがどうにも嫌な感じがして、どうしても引っかかるそのことをカイ達に聞くことができたのはそれから更に数日経ってからだった。 「王宮で鐘が鳴ったってどう言う意味?」 「鐘?鐘は処刑の時に鳴らすんだよ」 「っ⁉」 「宮中の鐘って言うのはそれなりの地位の人間が処刑された時の表現かなぁ」  カイがそう零した時、シモンがカイの背中を叩いた。 「あっ!……ええと、今じゃ例えなんだ。実際、あいつらは王家の血筋だしそんなことできないから安心しろって」 「そうなんだ」 「うん、あのオッドアイが目印な」  カイがちょいちょいとシモンの目を指さすから、シモンはうっとおしそうに顔をしかめている。   「シモンも?」 「俺は違うよ、オメガだもん。王家に時々生まれるんだって。昔に嫁いできた王妃が王族の髪色と家臣の瞳であるオッドアイの子供を産んでから」 「え…それって不倫……」 「ってわけじゃなかったんだ」 「?」 「実際それが証明されたのは家臣が処刑されて、王が自殺してからずいぶん経ってからなんだけど」 「え……なんでそんなに経ってから?遺伝子検査とか?」 「そんなハイテクな話じゃなくて、不義の子だと思われて廃嫡されていた王子がアルファだったんだ」 「?」 「家臣がベータでね、王妃はオメガだ」  そうなると、もし不義の子だとしてもβかΩが生まれるはずだ。 「それに成長するにしたがって、文句のつけようもないくらい亡くなった王様そっくりになったらしくて」 「え、なにそれ」 「不思議だろ?んで、廃嫡が取り消されて以降、王家の血筋に時々オッドアイの人間が生まれるんだそうな」 「どこからオッドアイがきたの?」 「……まぁ俗説に、王と家臣が道ならぬ恋をしてて、それを応援した王妃が二人に似た子を産みたがったから なんてのがある」 「遺伝子に喧嘩売ってる?」 「まぁまぁまぁ、オメガの祝福もあるんだし、もしかしたらもしかするかもよ?」 「祝福?」  何の話だ と言う顔をするけれど、二人は気づいてはいないようだった。 「まぁ、ベータなのに子供ができたreĝoに言われたくないと思うよ」 「う  」  怯んだところでクイスマがお茶の準備をして入ってくる。 「何の話してるの?」 「な、なんでもないよ!」  慌ててごまかしたオレにクイスマは不思議そうな顔を向けた。 END.

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