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第5話
そのうちTシャツの裾から手を忍ばせてくるしまつだ。
「ちっちゃくてコリコリして可愛いな」
平らな胸の乳首を探り当て、軽くなでたり摘んだりしながら本宮は嬉しそうに囁く。
「なあ、そんなことしてなにが楽しいの」
本宮の行為など気にも止めていない素振りで箸をすすめていく。
「ああ、楽しい」
耳から頬へ這い出した本宮の舌が、義人の唇の形をたどるように巡った。
「すこし焦がしすぎたか」
耳元で囁かれる言葉が意味のないものでも、義人の身体は熱を持ち始める。
そのたびに、これは条件反射だと呪文のように心のなかで繰り返した。
「おまえなら、やらせてくれる女なんて腐るほどッ、いて!」
首筋と乳首から同時に鋭い痛みを感じた。
「義人って馬鹿?」
「おまえに比べたらバカと認めざるを得ない」
「そこは素直に認めるな、反論しろよ。義人は馬鹿ではない。あっいや、そうではなくなくなくなく。う~ぅん、ああめんどくさいやつだなぁ。裁判での弁護より難しい」
じれた本宮の声が耳元でした瞬間、今度は耳朶に激痛が走った。
「いつっ! いちいち噛むな!」
「大学の四年間わかりきった退屈な講義を聴き続け、わざわざこんなぼろやに金を払って、毎日めんどうな食事の世話までする。これのどこに俺のメリットがあると思ってるんだ」
「セック、ス……?」
本宮に得などあるはずがない、義人のほうが訊きたいぐらいだ。
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