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第14話 身体の異変

じりつく身体は、さっきから熱でも有るかもしれないと思うほど熱く感じる。俺は乗り心地の良い車にもたれ掛かりながら、熱い息を吐いた。 「…祥一朗先輩、迷惑かけてすみません。急に呼び出したのに、大丈夫でしたか?」 去年生徒会長をしていた、秋良の兄の祥一朗先輩は、俺をチラッと見ると微笑んで言った。 「ああ、大丈夫だから来たんだろう?良かったよ、間に合って。気になってたんだ。この前の電話で、もしかしたら薬が効かなくなるかもって言ってたから。あいつらに雪弥の発情期任せたくなかったからな…。それにしても凄いフェロモンだな。私も余り影響されないようにって、抑制剤飲んできたんだが太刀打ち出来そうもないな…。」 そう言う祥一朗先輩の顔を見ると、ほんのり頬が赤らんでいた。俺はこれから起きる未知の世界の恐怖と少しだけの好奇心で少し震えていた。いや、興奮してきて震えているのかもしれない。アドレナリンが出まくってるのかも。 「何か発情期ってヤバいですね…。変な薬やってるみたい。やった事ないけど。」 僕はもうあまり頭が回らない感じで、思ったことを考えなしにペラペラ喋っていた。祥一朗先輩は、そんな俺をチラッと見ると、口元を緩めて言った。 「ふふ、饒舌な雪弥ってのも珍しいな。…でもそのうちに色々考えることも出来なくなる。雪弥はただ私に任せてくれれば良い。お前は気持ち良さだけを追いかければ良いんだ。」 俺は何だかラジオでも聴いている気分で、先輩の話を聞いていた。 ふと、先輩に言っておいた方がいい気がして、俺は喋り出した。 「俺、今日みんなに発情期来るかもしれないから、どんな準備が居るか聞いたんです。あと、俺の性癖が何か分からなかったから、その事も。その時は先輩に頼むほど切羽詰まってなかったから、のんびりしてたって言うか。 そしたら、秋良のやつ急に俺にキスしてきて。俺、夢精はあったんですけど、今までひとりエッチ?もした事無かったんです。でも秋良にエッチなキスされたら、何か身体がおかしくなって。もうこれは薬効かないって思って、先輩に連絡したんです。」 先輩は何だか怖い顔をして、前を向いて黙っていた。心なしか車のスピードも上がった気がする。 「…先輩?」 先輩は、僕をチラッと見ると急に微笑んで言った。 「すまない。ちょっと秋良が雪弥にキスしたんだと思ったら、妙に胸が騒ついてしまった。…そろそろ到着する。」 そう言って、祥一朗先輩はマンションの地下へと車を進めた。俺は怠くて熱い身体を感じながら、もう、なるようになれと色々な感情を放り出した。

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