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第33話 祥一朗side呼び出す

それは一本の電話からだった。雪弥の髪色が変わった事を従兄弟の楓に調べてもらった、その結果についての話だと直ぐに分かった。目の前の雪弥に断って、楓の話を聞くうちに私は事態の思いがけない展開に度肝を抜かれた。いや、心のどこかでは覚悟していたのかもしれない。 私は楓の辿り着いた情報を簡単に聞きながら、本人の様子を伺った。相変わらず発情期前と変わらず、いや少し変わったか?どこか吹っ切れた感を漂わせる雪弥を見つめながら驚くべき話を聞いていた。楓からの話はまだ奥行きがありそうだったが、取り敢えず雪弥に確認したいと思って、楓には雪弥と話した後に連絡するといって電話を切った。 私が雪弥に父親が雪豹なのかと聞くと、雪弥はあっけらかんとそうだと言ったので、私はすっかり拍子抜けしてしまった。多分この事が公になれば当事者になるだろう雪弥は、何も知らない強みなのか、こっちの心配などどこ吹く風だ。 確かに私たちの様な経営者側の企業人としては知っておくべき情報でも、一般人には知られていない事は多い。しかし、雪弥は当事者だ。雪弥の母親や周囲の人間が意図して情報を遮断していたことは間違いないだろう。 私は雪弥にマウンテングループについて聞いてみたが、それにも全く食い付かなかった。私は事の大きさに、そして今後の雪弥の生活を考えると、守りをつけなくてはいけないのは明らかだった。私は従兄弟の楓と、雪弥を側で守れる弟たちを呼び出すことに決めた。 しかしいくら雪弥の望みとはいえ、秋良たちの目の前で雪弥を掻っ攫った感のある今回の発情期は、私が相手だとわかったら相当恨まれそうだ。 私はその時の事を想像して苦笑すると、雪弥に簡単な事情説明と、対策のための助っ人を呼ぶから身支度をする様に促した。雪弥が洗面所へ消えるのを待って、私は楓に電話した。 楓は流石に察しがいいのか、二つ返事で直ぐに行くと簡単に返事をして切った。さて、こっちだ、問題は。電話に出てくれよ? 『…もしもし。なんだ珍しいな兄貴。俺ちょっとのんびり電話してる場合じゃなくって。これから来いって?いや、それが、雪弥がいなくなっちゃって、寮で待ってたほうがいいかと思って。…え?ああ、皆居るけど。どうゆうこと?えっ⁉︎そこに居る⁉︎あ、ちょっと!』 流石に驚いていたけれど、電話で話すことでもないので、秋良たちに私のマンションに来いとだけ言って電話を切った。私と雪弥で、エネルギーの塊の様なあいつらと向き合うのは難儀だが、楓が持ってきた話でほとんど吹っ飛ぶだろうと、私はまた苦笑した。

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