41 / 49

第41話 楓からの話

祥一朗は皆の顔を見回して言った。 「秋良たちにも来て貰ったのは、これからの雪弥の事と関係があるからだ。見てわかる様に、雪弥は発情期を終えたせいで髪の色が変わった。本来の髪色が銀髪なんだと思う。それは雪弥の家系と関係がある。…雪弥。」 俺は何だか凄い深刻な感じで始まった、この集まりに動揺していた。何だろう、これって。 「あ、ああ。あの、俺の母親は黒豹で、姉貴もそうなんだけど。父親が雪豹なんだよね。俺はどっちの家系か分からなかったんだけど、どうも雪豹だったらしくて。発情期で覚醒?するタイプだったみたい。はは…は。」 秋良たちは顔を見合わせて酷く驚いた様子だった。直ぐに反応したのはさすがの御曹司なのか、椿だった。 「え?えっと⁉︎ 雪豹って⁉︎ 絶滅したんじゃないの⁉︎」 秋良と聖は二人で顔を見合わせていたが、聖が言った。 「雪豹って、初めて聞くけど。」 椿は興奮が収まらないようで聖の肩を叩いて言った。 「何言ってるんだよ、絶滅危惧種の家系だぞ!絶滅してないとしたら、多分今、この世界で表に出てる人間はほぼ居ない筈だ。…それか密かに居るのか。こうやって俺たちの隣に。」 そう言うと、三人は俺のことをマジマジと見つめた。俺は慌てて言った。 「俺だって隠してたわけじゃないさ。実際、黒豹かなって思ってたし。お前たちだって、黒豹だと思ってたろ?父親には会ったことがないし、母親はほとんど俺にその話をしていないから、俺はただの高校生だよ。間違えるなよ。」 堪えきれないように吹き出した楓さんがお腹を抱えて言った。 「くぅ、ふふふ。悪い。何か凄い事のはずなのに、本人が全然感じてないから、笑っちゃって。まぁ、本人含めよく知らない様だから俺から説明するよ。はぁー、面白かった。雪弥睨むなよ、笑って悪かったよ。いや、実際椿の言う通りなんだ。 黒豹自体、希少種で少ない家系だ。まぁ猛獣系は少ないながらも、ヒエラルキー的に確実に子孫を残す様に努力してるからな。ある意味絶滅はない。だが、一部に猛獣系で最初から数が少なかったり、子孫継続が難しかったりで、絶滅危惧種になっている家系もあるのは事実だ。 それの一つが雪豹だ。昔は一般的な豹、黒豹と元から隔絶していたせいか、あっという間に人の目に触れる場所にはいなくなった。ただし、雪弥の様に密かに存在はするようだ。その特徴的な銀色の髪。それが雪豹のシンボルでもある。 俺は祥一朗に発情期の相手が銀髪になったと聞いて、ひとつ思い出したんだ。お前たちも知ってるはずだ。『銀の雫、世界を制する』を。」

ともだちにシェアしよう!