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叶わない恋**優しい手のぬくもり(6)
「はい」
ニヤけてしまいそうになる口を誤魔化すため、今はこれといって必要でもない緑茶が入っている湯呑を口元まで持っていく。
ふぅっと息を吹きかければ、湯気は線になって進む。
あたたかいボンヤリした感じになる。
「あの時、嬉しかったです……。絵画、もう見られないって思っていたから……」
「ずっと前から楽しみにしていたものね。サクラくん、一週間前からずっと嬉しそうに話してくれていたよね」
――そんな前のことまで事細かく覚えてくれているの?
くすぐったい。
体がぼわほわと宙に浮いたように軽くなる。
ああ、展覧会が待ち遠しいな……。
早く来ればいいのに。
だけど来年になったら引越さなければいけないんだ……。
ふたつの気持ちでザワザワするぼくをよそに、イヴは着々とやって来るんだ。
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