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初雪**この想いを淡雪にのせて(7)
体を寒さから防ぐため、両腕を交差させて包み込む。
だけど、やっぱり寒い。
体が小刻みに震えはじめる。
「サクラくん、少しあそこで待っていてくれる?」
そう言って、雅さんが指をさしたのは、街灯がひとつ、白いベンチを照らしている場所。
「あ、はい」
雅さんは二つ返事をしたぼくに頷くと、どこかへ言ってしまった。
どうしたんだろう? さっきのカフェに忘れ物かな?
木枯らしに吹かれたベンチへ腰を下ろすと冷気がさらに襲ってくる。
だけど、立ったまま雅さんを待っていると、木枯らしはぼくを標的にして吹いてくる。
どっちも寒い思いをするなら、腰掛けて雅さんを待つ方がいい。
体を縮めてガタガタ震えながら、冷たくなった手の指先に、はぁ……と息を吐きかける。
吐く息が白い。
すっかり空気が冷えているんだ……。
「雪、降るかな……」
ぽつり。誰に言うでもなく独りごちる。
ベンチに座りながら藍色に染まった物悲しい空を見上げた。
初雪が降ったら――……。
雅さんに告白したら……。
もしかしたら――と、叶わないと知っている決定済みの恋でさえ、神様に願掛けをしてしまう。
でも……もしかしたら……。
そう思ってしまうのは、雅さんが優しすぎるから。
そんなこと、あるわけがないのに……。
「ほんと、ぼくって馬鹿だな……」
クスリと乾いた笑いを乗せて冷えた空気に吐き出した。
「ね、こんな寒空の下にキミひとり?」
――えっ?
突然声をかけられた男の人に、はっと我に返って顔を上げる。
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