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初雪**この想いを淡雪にのせて(13)
緊張して、繋いでいる手のひらに汗をかいてしまう。
ぼくの手は雅さんをもっと求めて強く握ってしまう。
「あの……ぼく……雅さんのこと……」
『好きです』
雅さんに想いを打ち明けようとした時だった。
「あっれぇ? 雅じゃん!!」
後ろから、女の人数人の声が……聞こえたんだ。びっくりして自分から繋いでいた雅さんの手を離してしまった。
5、6人いたその人達はたぶん、雅さんの学校の知り合いなんだろう。雅さんを囲んだ。
「どうしたの? 今日は絢音と一緒じゃないんだ。アレ? この子は?」
肩まであるゆるく巻いた金髪をクルクル指に巻きながら、気怠そうに尋ねるひとりの女の人は、雅さんの隣にいる不釣り合いなぼくを見て言った。
「この子は俺の近所に住んでいる子なんだ。この近隣に美術館ができたって聞いて、今日は付き添いをお願いしたんだ」
「なるほど、たしかに。それじゃあ、絢音じゃ役不足かもね。あの子、どっちかっていうと賑やかな空間の方が好きだし? 美術館っていう柄じゃないよね」
雅さんが苦笑しながら返事をしたら、また別の女の人がうんうんと相槌を打つ。
「ってことは、明日が本番の絢音とクリスマスデート?」
――っつ!
聞きたくない。
そんな話、聞きたくない。
知らない人達と雅さんの彼女さんとの話なんて……聞きたくない。
今もしも、この場所からぼくがいなくなっても誰も気づかない。たとえ、雅さんであっても……。
雅さんが好きなのは彼女さんで……ましてや男のぼくじゃない。
ぼくはただ、雅さんが興味あった美術展への付き添い人……。
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