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初雪**この想いを淡雪にのせて(15)

「雅さん……」  言っても本人は大学のお友達と彼女さんのことで盛り上がっている。ぼくがいることも忘れているっていうのに、雅さんが恋しくて名前を呼んでしまう。 ――その時だった。  ふんわり……。  藍色の空から、白く舞い落ちる何かが視界の片隅に見えたんだ。  それは……。  真っ白い、雪だった。 『初雪が降った時、雅さんがとなりにいれば告白しよう――……』  そうしたら、もしかすると神様がぼくと雅さんを両想いにさせてくれるかもしれない。  けっして叶うはずのないこの恋に願掛けをしたことを思い出す。  ああ、でも雅さんは側にはいない。  いまさら雪が降っても仕方がない。  だからこの恋はけっして叶わない恋なんだって、サンタさんからも決定づけられた気がした。 「みやびさん……」  好きなのに。  こんなに、こんなに好きなのに……。  引っ越したってきっと想うのはあなたのこと。  いつも、いつも、ずっと……。 「ふっ……みやびさん……みやびさん……みやびさん……」  ずっとずっと好きです。  きっと、忘れることなんてできない。  雅さんへの想いはずっと、胸の中で宿り続ける。  恋心は消えることなく降り積もっていくんだ……。  握りしめるブルーのマフラーに顔を埋めてしゃがみこんだ。 「み、やび……さん……っひ、っひ……」  悲しくて悲しくて――。 「サクラくん」  後ろから呼ばれた声に気づかなくて、悲しみに囚われたまま、声を殺して泣いていた。  そしたら……。

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