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初雪**この想いを淡雪にのせて(16)
ふわり。
突然ぼくの体が宙に浮いたと思ったら、力強い腕に包まれた。
「――っつ!」
驚いてグスンと鼻をすすって泣き止めば、抱きしめてくる腕はもっと強くなる。
そっと顔を上げてみると、そこには雅さんがいたんだ。
雅さんの薄い唇から白い息が短く吐き出されている。耳元から聞こえる心臓の音はドクドクと鼓動していた。
雅さん、ぼくが居なくなったのに気づいたの?
探してくれたの?
息を切らしてまで走ってぼくを探してくれたの?
「み、やび……さ……」
悲しみに染まった心が、熱を持ちはじめる。
ああ、もうダメだ。
恋心はぼくの中であまりにも大きくなりすぎた。
ぼくは――。
あなたが――。
「好きです……」
気がつけば、秘めていた想いは口からすべり出ていた。
きっとびっくりさせてしまったんだろう。雅さんの目がまっすぐぼくを見つめてくる。
まさか同性の相手から告白されるとは思ってもみなかっただろうし、ましてや弟みたいに思っていたぼくからの告白だから……。
「サクラくん?」
キミは何を言っているの? って……。
眉間に眉根を寄せて、ぼくが何を言っているのかわからないって顔してる。
……そうだね、それが普通。
同性からの告白なんて有り得ないよね。
それでも伝えたかった。
雅さんを想っている人間がいるっていうことを知ってほしかった。
掬っても掬っても、手のひらの熱ですぐ消えてしまうこの雪のように掬いきれないこの想いを……。
舞い落ちる白い雪みたいに純粋なぼくの気持ちを……。
雅さんに知ってほしかったんだ……。
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