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初雪**この想いを淡雪にのせて(17)
「ずっと見てました。雅さんのこと……。泣き虫なぼくに優しくしてくれる雅さんを……。同性としてじゃなくて、異性として……」
たとえ振られることになっても、それでもいいと思えるのは、何も言わずに居なくなったぼくを必死になって追いかけてくれたから……。
だから……。
だからね……。
もう、終わりにしたいって思ったんだ。
この初雪に想いをのせて、この恋を終わりにしよう……って。
「今まで、ありがとうございました。いただいたマフラー、お返しします。こんな気持ち悪いぼくにあげたなんて思い出にもならないです……」
包まれた腕からそっと抜け出し、雅さんの胸板にマフラーを押し付けて微笑んでみる。
だけど涙が流れるのは仕方ない。
雅さんとはもう会えないし、もう完全に嫌われたから……。
「さようなら……」
一歩、大きく踏み出した。
ハズ……だった。
なのに――。
トスン。
「――っつ!!」
なのにどうして?
ぼくはなぜ、雅さんに抱きしめられているの?
「放してどうするの? やっと手に入れることができるというのに……」
熱い吐息と一緒に放たれた言葉はぼくの耳孔に触れた。
――え?
雅さん?
ぱち、ぱち。
雅さんの言っている意味を理解できないぼくは、瞬きするばかりだ。
雅さんは、さっきなんて言ったの?
ぱちぱちと瞬きするごとに、こぼれ落ちる涙は雅さんの袖を濡らしていく……。
「俺も好きだよ……」
す き?
だれが?
だれをすき?
ぼくを?
まさか、そんな!
少し間を置いてからやっと雅さんの言葉を理解した。
だけど、でも……!!
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