34 / 41
初雪**この想いを淡雪にのせて(20)
「絢音とは履修科目が同じでね、以前、告白されたことがあったんだ。当然、俺にはサクラくんがいたから断った。だが、彼女はなかなか諦めてくれなくてね、ある日、サクラくんを好きだということを絢音に見抜かれたんだ……。この想いをサクラくん本人に言われたくなければ自分と付き合えと半ば強制されて付き合うことになったんだ」
――え?
「自分でも情けないと思う。だが、同性のサクラくんを好きだなんて誰が言える? サクラくんを好きだと知られれば、きっと避けられる。君に嫌われたくなかった……」
――え?
雅さんの思ってもみなかった言葉。
ぼくは放心状態になってしまう。
だけど、そんなハズはない。
こんなに格好いい人がぼくみたいな奴を好きになるなんて有り得ない。
「だって、だって……彼女さんに廊下で叩かれていた時、悲しそうにしていた……」
きっとこれは夢。
早く目を覚まさなきゃ。
なのに、雅さんは首を左右に振って否定する。
「それは絢音が、サクラくんに俺の想いを告げ口されると思ったからだ。言っただろう? 君に嫌われたくはないと……」
クスリと笑う唇は、近づいてくる。
だけど……。
まって、待って待って!!
まだ訊かないといけないことがある!!
ぼくは近づいてくる雅さんの顔を遠ざけるため胸板を押した。
「いつ? いつから好きになってくれたの?」
雅さんは眉根を寄せて、困ったように笑った。
ともだちにシェアしよう!