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夢、覚めて……。(前編)

 ピピピピ……。  午前8時。  目覚まし時計が朝を知らせる。  だけどまだ眠い。  それに今日から冬休みだから別に早起きしなくて良い。  放っておいてほしい。  それになぜだろう。  目の周りがひどくヒリヒリする。  ヒリヒリ、ヒリヒリ。  目の周りの痛みも、耳元で鳴る目覚まし時計にもイライラする。 「もうっ!!」  半ば乱暴に目覚ましボタンを押した。 「サクラ~」  けたたましい音がやっと終わったと思ったら、次はなに!?  母さんの声もして起き上がると、すぐにノック音が聞こえてドアが開いた。  部屋に入ってきたのは母さんではなく――。  一重のきりりとした涼しい目元に背の高い、森野 雅さんが立っていた。 「み、みやびさんっ!?」 「サクラくんお早う。目、やっぱり腫れてるね……」  慌てて起き上がるぼくの顔に伸びてくる雅さんの骨張った指。  心配そうにぼくの顔を覗き込んできてます。  だけどぼくはそれどころじゃないっていうか。  だって寝起きだし、髪だって寝癖ついてるし。  それにそれにパジャマだしっ!!  あとあとあとっ! 「顔、近い……」  ぼくの顔、ボンっと音を立ててしまいそうなほど熱くなっているのがわかる。  恥ずかしくて布団を口元まで引き上げる。 「サクラくん、可愛い」  くすくす笑っている雅さん。  ……そう言う雅さんは相変わらず格好いいです。  あわあわしながらそんなことを思っていると、目尻にあった指先がぼくの頬に触れた。  ほんの少し上を向くよう、そっと顔を掬い上げられたかと思えば――

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