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6,5.ガルは見た

 昼休憩に少しだけうぉんの様子を見ようと上がってきたらうぉんが俺の服をベッドに持ち込んで寝ている姿を見てしまった。枕と一緒に俺のTシャツとハンカチを抱きかかえている。ちょっと引きそうになったがまだ下着を選ばれなかっただけ良心的なんだろうか?この”見てはいけない”であろう光景をどう処理していいかわからず、その場に立ち尽くした。  俺はうぉんが好きで、うぉんも俺が好き…なのはそうなんだが好きの大きさに差がありすぎると思うのだ。あまりにも莫大な感情をぶつけられても俺は受け止めきれないぜ…。いや、こっそりやっているのだからぶつけているのとは違うかもしれない。垣間見てしまった。  ………俺は困惑しているというのにこいつは幸せそうに寝やがって。俺が抱きしめてた時はわんわん泣きまくってたくせになんで今そんな顔すんだよ。畜生、俺がいるときだってそれくらい幸せそうに笑いやがれ。  怒りをぶつけたかったが休めといった張本人が起こすのはどうかと思うので嫌がらせだけしておくことにした。とびきり可愛いヘアピンを前髪につけてやって後ろも結んでおいた。 「Buona notte(おやすみ)、可愛いうぉんちゃん」  その顔を写真に撮ってスマホのロック画面にする。そのままスネークアイまで戻ってからその写真をうぉんに送り付けた。 『次は俺の前でも笑いな』  恋愛ってこんなものだったかもしれない。とはいえ初日から山あり谷ありすぎる。あ~ほんとクソだぜ。今更好きだって思っちまうよ。なんだよあの顔。f●ck!仕事に集中できねーじゃねーか!!  だからといって今は戻れない。 「あ”~!!俺恋愛なんか嫌いだぜ!!」  レジ前のぬいぐるみやアクセサリーを散らかしてそのままふて寝する。こんなことなら好きだって自覚しなきゃよかった。クソがよ~!!  行き場のない感情をどうすることもできずまともに眠れそうにはなかったがそれ以外に発散方法もわからずガルは一人で唸りながら一人で店番をしていた。

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