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回想 続・タトゥーを入れた日
しばらくの間寝たふりをして、多分一時間は立っただろう。ガルは寝息を立てて眠っている。音を立てないように眼だけを開けてほとんど暗闇の中でガルを見た。少し痛みがあるのか不貞腐れたような顔をしている。まさかお揃いのデザインで、二つ合わせて形になるタイプのデザインを彼が選ぶとは思わなかった。私の心でも見透かされているのかと思うほどドキッとするようなことをする。かと思えば反抗期の子供のようにどこかへ行ってしまうこともあって振り回されている気がしてならない。
まぁ………私が勝手に片思いして勝手に失恋しているんですからそんなこと貴方が知る由もないですね。私は心がとても弱いので貴方に気持ちを伝えるなんてとてもできませんからこの気持ちはずっとしまっておくことでしょう。
起きてしまわないように息を殺して身動きも取らず、見つめるだけ。触れられる距離なのに、触ることさえ許されないなんてなんて生殺しなんだろうか。もしこの世に神がいるなら私のことが嫌いなんだろうと思う。両親のことも、彼のことも、酷すぎるじゃないか。
夜は悩みが増えるというがその通りだ。思い込みすぎる。
ため息をついて、深く布団をかぶりなおす。明日、彼のことを嫌いになれたら、どれだけ救われるだろうか。できないことを考えて心を痛め、眠ることしかできないこの日々に終止符を打ちたい。どうか、嫌いになれますように。
おやすみなさい。
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