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第2話 かっちゃん
かっちゃんは俺の従兄弟で、兄貴みたいなもん。春から東京の大学へ行く。寂しくなるけど、すぐに帰れる近い距離。これからもきっと変わらない、そう思っていた。
部活が予定より早く終わったあの日、いつもの通りかっちゃんに遊んでもらおうと隣の家を訪ねた。おばさん出かけてるのか鍵空いてるのに誰もいなかった。
玄関に靴あるし、部屋でエロビデオ見てんだろと思って勝手に上がった。
驚かしてやろうとそっと上がった階段の途中で、誰かの声がかっちゃんの部屋から聞こえたような気がした。あれ?誰か来ているのかなと少しだけ空いたドアから覗いた。
え、何してんだよ?
かっちゃんのはだけたシャツの中に手を差し込んでいる男が見えた。抱き合っている?何してんだ?もうパニックだった。
慌てて階段駆け下りて、それから自分の部屋に戻った。心臓がばくばくして、怖かった。だから忘れることにした。あのことは見なかったことにしたのに、俺は何を余計なこと言っちゃったんだろう。
「陽向、俺のこと気持ち悪いと思う?」
「思わない!」
「本当?軽蔑しない?キモイとか思わない?」
思うわけない、俺のかっちゃんだもん。それでもかっちゃんは下向いたまんま、ため息ついてる。
「俺、かっちゃんのこと大好きだし、軽蔑も絶対にしない。母ちゃんにもおばさんにも言わないから」
「そう?じゃあ口止め料払っておくか」
口止め料って小遣いくれんの?と思ってたら、かっちゃんがにっと笑って車を走らせ始めた。
「陽向、帰り遅くなるっておばさんに電話しとけよ」
「どこ行くの?」
「いいところ、期待しとけ」
「え、どこ?」
「んー?」
しばらく走って目の前に見えてきたのは、お洒落なレストラン。
「あのさ、あの」
「こういうところで飯食ったことないだろ、ひなチャン」
「子ども扱いは止めてって」
かっちゃんが、そばに居るとやっぱり嬉しくなる。かっちゃんが笑うとつられて笑顔になれる。
だから誰にもかっちゃんは取られたくない。
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