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破瓜の儀式 5

「これで、破瓜の儀式は終わりだよ。お疲れ様。僕のことを受け入れてくれてありがとう」 「は、か·····?」 「そう。葵のお尻の中に、女の人のように処女膜があって、それを破ると受け入れたこととなって、18歳の時にまた性行為をすることによって、妊娠する身体に変わる」 楽しみだな、と撫でていた手で腹をさすり、にっこりと笑っていた。 意味が、分からない。 頭がぼんやりとするから余計に今言っていたことが何一つ分かりやしない。 顔に出ていたのだろう、兄は、「今は分からなくてもいい」と優しく囁く。 「18歳になったら、絶対に分かるから。今はそれまでこれを着けていて」 今の今まで気づかなかったが、さっき兄の後ろにいた下男がいたらしく、その一人が恭しくお盆を碧人に差し出すと、その上にTバックの形のした金属製の──貞操帯と呼ばれる物を受け取り、それを慣れた手つきで葵人の下半身を覆い隠す。 一瞬に思えた出来事に呆然とそれを見つめ、「なに、これ」と震える口を動かす。 「念の為。葵は外に出られないけど、何があるか分からないからね」 外に出られない·····? 貞操帯を着けられたことといい、さっきの行為といい、あまりにも非現実すぎて頭が追いつかず、意識が遠のくのを感じる。 「眠たいの·····? さっきので疲れたんだね。いいよ、おやすみなさい」 いい夢を、と額に唇が触れたのを最後に、現実から逃げるように目を閉じた。 これからの非現実な地獄を始まることを知らずに。

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