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窓の外から 1

ある日、兄が一緒に窓の外でも見ようか、と有無を言わせない目の奥からの圧で、全くそういう気にもならないのに、半ば無理やり連れて行かれる。 今は片足首に縄が通されているだけで見た目だけは今まで一番楽な拘束であった。下半身の貞操帯と尻穴のモノは相変わらずであったが。 にしても、布団から窓までの大したことのない距離だというのに、兄がご丁寧に手を差し出して、それを拒んだら怒られそうだとビクビクしながらもそれに手を乗せる形で添えると、そのまま立ち上がらされ、ゆっくりと共に歩かされる。 男の人に女の人がエスコートされている気分で、少し恥ずかしさでほんのり頬を赤くしつつ、窓に辿り着く。 いつも遠くから見ていた景色。近くでみると、外に出たような気分になり、当たり前に見ていた景色が懐かしく感じ、目から温かいものが流れていた。 「葵、泣いているの」とどこか心配そうな声で見てくる兄で自分は泣いていたんだと自覚し、慌てて拭う。 「へへ、·····自分でもなんで泣いていたのか、分からなくて·····」 「·····もしかして、外が恋しいの?」 ギクリ。 心臓が飛び出るんじゃないかと思うぐらい、驚いた。 やっぱり、見透かされている。 すぐに答えなかったのが肯定だと思われたようだ。「まだ、そう思ってるの」と呟く声が聞こえた。 その声が、冷気の如く、酷く冷たい。 「ち、違う·····! あまりにも景色が綺麗だったから、だからっ!」 「こんな庭、飽きるほど見てきたでしょ。やっぱり、外に行きたいんでしょう。だったら、外に出たくなるのが嫌になるぐらいにしてあげる」 「·····! や、やだ! ·····っ!」 兄の笑っているはずなのに、笑ってない顔も相まって、危機を察し、咄嗟に逃げようとしたが、呆気なく手を取られ、後ろ手にされると素早く縛られ、真上の梁に括り付けられ、宙に浮かされる。 足をギリギリ伸ばしても届かない程度の高さにされたのもあって、足がつかない恐怖にさらされ、暴れる。 そうしていると、足首だけ縛られていた縄を外し、それを今度は膝に縛ると、それも梁に通す。そうすると、嫌でもY字開脚をされ、貞操帯が晒される。 もう暴れることは出来ない。無理に動かすと、縛っている部分がくい込んできて痛い。 「いい眺めだ、葵。こんな格好をどこかの誰かに見られたら·····外に出たいとは思わないよね?」 「な、やっ·····あっ!」 言った直後スイッチが入った。 しかし。いつもの強いものではなく、弱くて緩いもので、いいところに当たらないもどかしさがあり、その緩さを合わせて、緩く腰を動かしてしまう。 「お尻のがいいところに当たらなくて、物足りないのかな·····? 腰、動いているよ」 誰かに言われると嫌でも思い知らされ、腰の動きを止めたいが、どうしても止められず、「み、見ないで·····」と蚊の鳴くような声を出して、顔を赤らめる。 「いいじゃないか。葵の淫らな姿を見てもらえるよ。ほら、あそこで見ている」 兄がわざと指を差した先。 遠く離れた高い塀に、桜をかたどった穴がくり抜かれている。 けれども、あそこからではその前にある桜の木で見えづらく、目を凝らして見ないと様子を窺えない。 だけど。その時、誰かと目が合ったような錯覚がし、羞恥と興奮で、隠された秘部が硬くなっていくのを感じ、しかし、塞がれているせいで痛みも覚えた。 苦痛で歪む葵人の顎をなぞるように撫でる。 「その顔も素敵だよ、葵。じゃあ、僕は学校に行ってくるから。泣くほど見たい外の景色でも見ているといいよ」 「や、やっ! まっ、て、う、んっ!」 当たらないムズムズさと痛みでぎこちなく動く弟の姿を後ろでしばらく見た後、兄は去っていった。

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