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窓の外から 2

──この辺りに住む人達は知らない人はいないぐらい名の知れた家・西野時家。 何故そんなにも有名なのか、何をしているのか、よく分からない。 全く自分の家系に興味が無いからだ。 ただ、だだっ広い家で目立つからだと思っていたのだが。 興味ねぇ。 目もくれず、自身の背より優に超える門を潜り、気だるそうに歩いていく。 本当は何かあったらと過保護に過保護な親が運転手を雇っているのだが、たかが学校に行く程度で大袈裟すぎる。 今もエンジン掛けて待っているのだろうが、無視し、とうに学校が始まっている時間を急ぎもせず向かう。 「あら、碧衣ちゃん。学校に行くの」 散歩途中のお婆さんに声を掛けられる。 碧衣ちゃん。 思わず嫌そうに顔を歪めそうになる。 産まれた時、親は女の子のように可愛いと思ったらしい。 それと、もう一つ。最初は元気よくすくすく育ったのだが、そろそろ名前を決めようかという時からちょっとしたことで身体が弱くなっていき、そのことがあり、男の子らしい名前より女の子のような名前にし、ついでに女の子の格好をさせられていた。 日本の昔からあるという男の子に女の子の名前を付け、格好をさせると、無事に育つ迷信。 迷信だと思っていたものが事実となり、歳を重ねるにつれて無事に育っていく。 しかし。そんな意味の込められた今は何の意味もない名前のせいで、両手両足の指でも足りないぐらい、よーく女の子だと間違えられた。 そのせいと、同級生に何故か名字を聞いただけで遠巻きにされることもあり、名前をつけた両親と家系が憎く感じ、中学に上がると同時に髪を毛先は茶色の金にし、素行を悪くして過ごしていた。 が、それでも親は全く勘当もせず、それどころか、ギャップがあっていいとさらに可愛がられる始末。 頭がお花畑過ぎて、呆れてしまった。 あの二人がそんなだってことを分かっていたが、ここまでとは。 してもしょうがない反抗な態度に後にも先にも引けなくなり、一応持続中の意味の分からないことをしてる。

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