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窓の外から 5

無我夢中で走り続け、気づいたら、自分の部屋に入り、その扉にずり落ちるように座り込み、頭を抱える。 ぎゅっと目を閉じて、脳裏に浮かぶのは先ほどの不自由さを強いられてるのがより、いやらしさを感じられる男の姿。 その記憶をどこかへ追いやりたいのに、こういう時に限って脳裏に焼きついて離れない。 それと同時に反応してしまう、下半身の膨らみ。 相手は男だ。男のはずなのに、どうして身体は素直に反応してしまっているのか。 自分の頭と身体が別々の人間のように感じられるぐらい、今の状況が追いつかない。 静まれ·····! 静まれ·····! 心で何度もそう強く思っていた。 だが、落ち着くどころか勃ち続けたままだった。 苛立ちで掻きむしった。 そして、意を決して、ベルトに手をかける。 下着ごとスラックスを下ろすと、ここぞとばかりに自身のが顔を上げる。 張り付かせたそれを無造作に掴むと、怒りをぶつけるように激しく扱く。 「はぁ·····っ、はぁ·····あ·····んっ、あ」 意識を集中するために再び閉じた瞼の裏でチラつく、あの記憶。 キツく縛られ、宙吊りにされ、それでもそれから自由になろうともがく、必死な顔。 そんな姿を思い出したくはないのに。 扱く手がどんどん早くなっていく。 「はっ·····はっ·····あ·····あっんっ」 一際大きい喘ぎ声と共に、どろっとしたものが先端から溢れる。 してしまった。 手を力なく下ろし、全身から力が抜け、扉に背を預け、ぼんやりと部屋の中を見つめながら罪悪感を覚えた。 碧衣の騒ぎに駆けつけた、親を始め、使用人らが外で声を掛けていても、返事をする気力が無くなっていた。 ただ、淫らに見悶えるあの姿を目の前に幻覚を映して。 そうして、うっすらと初めて見た顔ではないと思いながらも。

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