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出会ってしまった 1

昨日の息子の不可解な行動により一層心配した両親は、顔を合わせる度に、どうしたの。学校で何かあったの。と訊いてくる。 その度に自身が犯した罪をどうしても思い出してしまい、無理やり思考を追いやり、自分の行動に腹を立て、その八つ当たりで両親に辛く当たってしまう。 毎回言った後に、ハッとする。 一瞬だけ見た両親の悲しそうな顔を見ていられず、その場に去ることが日常的になってしまった。 謝るべきなんだろうな。 昼休憩で、教室はそれぞれ談笑をし、和気あいあいとしている中、碧衣は頬杖をついてそう思っていた。 「碧衣ちゃーん? 何一人でたそがれているの?」 「あ、もしかして、好きな人でも出来た?! どうやって告ろうか迷ってる? なら、俺に任せてよ。俺って経験豊富だからさ」 「は? 何言ってんだよ、片思いの数の間違いだろ。おめぇなんて告っても、『友達のままでいよう』と当たり障りのない返事をされるだけだわ」 「は? はぁ? お前何言って──」 ダンッ! 両手で机を思いきり叩く。 思っていたよりも強く叩いたせいで、一瞬にして教室内は静かになり、一斉に碧衣のことを見ていた。 それに気づいた碧衣は、視線を向けている同級生らに、「わ、わりぃ·····」と苦笑をし、顔を俯かせた。 「もう、碧衣ちゃん。どうしちゃったのー?」 「俺らが何か気に障ることでも言ったか?」 「いや·····全く·····」 再び騒がしくなったクラスの中、消え入りそうな声で答える碧衣に二人は首を傾げていた。 「そういえば、聞いたか。俺らのクラスにいた、桜屋敷のこと!」 ぴくり。 人知れず肩を揺らす。 また昨日のことを思い出してしまいそうになるのを必死になって、別のことを考える。 「桜屋敷って··········名前は聞いたことがあるが、誰だっけ?」 「ちょま、お前それはヤバい。そんな失言、俺ら以外に聞かれてみろ。コロされるぞ、主に女子達に」 「で、そいつがどうしたんだよ」 それがさ·····と、大袈裟に溜めてこう言った。 「学校を辞めたみたいなんだ」

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