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会ってみよう 1

夏が近づいてきたある日。 また新たな記憶を上書きされ、目を閉じても思い出してしまう光景に、いてもたってもいられなくなった碧衣は、あの兄が行った直後であろう時間帯に再び侵入することにした。 今日は、縁側に桜屋敷の姿が見えなく、どこに行ったんだろうと思いつつ、その奥にあった障子を恐る恐る開ける。 すると、いた。開けた瞬間、大広間の中心辺りに正座をしてこちらに向き、肩を震わせ、どこかビクビクした面持ちの桜屋敷と目が合った。 「え、あっ!? 西野寺君っ!? ど、どうしてまた」 「あ、いや·····まぁ、それは、だな·····」 碧衣だと分かった瞬間、驚いた顔をし、素っ頓狂な声を上げる桜屋敷に、まさかここにいるとは思わなかったのもあり、どう答えようか分からなく、しどろもどろになる。 しばらくどちらとも黙っていたが、桜屋敷が、「とりあえず入って。まだ、大丈夫だと思うから」と言われる。 まだ、大丈夫って何が。 心の中で思っていたことが口に出ていたらしい、障子を閉めながら訊くと、「あ、えと·····それは」と今度は桜屋敷がしどろもどろになる。 正座をしていた桜屋敷の前に同じように正座をし、視線を巡らせている桜屋敷のことをじっと見つめる。 元々の体型がどうだったのかは知らないが、それにしても少し痩せているような印象を受ける。 こんな生活を強いられて、精神的に来ているのだろう。 あのような、今も元々白いだろう肌に不釣り合いな縛られた痕がくっきりと残っているのだから。 あの行為を二度も見たことから、日常的にされているのだろう。痛々しい。 と思う同時に卑猥だと、少し勃ちかけているのを感じ、そんな考えをしてはいけないと首をブンブン振る。 「? 西野寺君、急にどうしたの。それに、顔が赤いよ。外が暑かったの」 「えっ! まぁ、そうだな·····そろそろ夏が近いし」 あはは·····と笑って誤魔化す碧衣に、「そっか、そんな時期なんだね」とどこか悲しさを滲ませた声で言う桜屋敷がいた。 「僕、あの日西野寺君と会った以来まともに外に出させてもらってないから、四季の感覚が無いんだ」 兄さんが言ってはくれるんだけどね、と困ったように笑う桜屋敷。

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