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小さな幸せのその後 1 ※生理描写あり
部屋から出ていく同級生の背中を手を振りながら見ていた。
ピシャリと障子が閉まり、影さえ見えなくなると、振り続けていた手を降ろし、ゴロンと寝転がる。
また、会えるかなと淡い期待をしていたのが、こんなにもすぐに叶うだなんて。
自由がない、地獄の日々に小さな希望が舞い降りてきたようで、自然と笑みが零れるぐらい嬉しいことだった。
笑ったこともこの部屋に来てから初めてのことだった。
「西野寺君。西野寺碧衣君」
なんて、素敵な名前なんだろう。
何度も何度も復唱してみては、小さく笑っていた。
そうして、自身の手にもう片方の手を添える。
咄嗟に西野寺の手を触れた手。
兄のように細くて長い手ではなく、全体的にごつごつしていて、指は太め。
しかも、温かった。
自分でやったことなのに、後々引けに引けなくてそのままぎゅっと握りしめてしまったけど、兄以外の人と触れ合うことが出来て、とても嬉しく感じた。
どうして、そう思うのだろう。
西野寺の顔を浮かべながら、そう思いつつ目を閉じていた。
「──い、葵。そろそろ起きて」
「んっ·····ん·····。にい、さん·····?」
考え事をしながらそのまま寝てしまったらしい。目を擦りながら起き上がった。
「おはよう、葵」と愛おしげに頬を撫でた後、その頬に口付ける。
当たり前になってきたこの行為であるが、まだまだ慣れていなく、頬を赤らめる。
そんな葵人が可愛らしいのか、ふふっと笑う。
「さて、葵。幸せそうな夢を見ていた時に起こして申し訳無いのだけど、そろそろアレを換えないとね」
「あ·····うん·····」
曖昧に返事する。
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