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告白の秋 1
あの綿あめの出来事からあっという間に過ぎて、秋が訪れていた。
あの後、碧衣はその足で家へと帰り、部屋へと駆け込み、持っていた綿あめの棒と袋を見て、桜屋敷に唇を重ねられたことを思い出し、中心部が膨らんだことにより、慰めようとズボンを下ろそうとしたが、思いとどまり、その棒と袋を後生大事に取っておいた。
それからというもの、桜屋敷が好きだと言っていた綿あめを手慰みに毎日のように食べていた。
それにはさすがに、両親も、友人らもいつも以上に、「あの時の具合が悪化がしたんじゃないのか」と心配する始末。
当の本人はそろそろ止めるべきかと思っていた時もあったが、桜屋敷のことが忘れられず、心配することでもないと言って、食べ続けていた。
そうした日々を過ごしていたある日の昼休憩のこと。
昼食を済まし、常備している綿あめの袋を開けて食べていると、「なぁ、」と二個目の弁当を食べている山中が話掛けてきた。
「あん?」
「お前ってさ、桜屋敷先輩のことが好きなん?」
綿あめを齧り付いたまま──とはいえ、その瞬間から溶けだしてはいるが──食べる手が止まる。
「その反応は! やっぱりそうなのか!?」
「は? ちげーし。てか、何でそうなるんだよ」
口の中に入れていたご飯を飛ばしてくる山中に汚いという意味も込めて、顔を顰めていると、咀嚼し、ごくんとすると、ニヤニヤしながら言う。
「だって、今まで興味が無かったクセに女子達が来たと言った同時に先輩の方に向くじゃん。何? 碧衣ちゃんもああいうのがタイプ?」
「はぁ? 相手は男だろう。男同士で好きになるのキモくね?」
「──恋愛に男とか女とか関係なくね」
今まで静かに焼きそばパンを食べていた石谷が口を挟む。
前から思っていたことなのだが、石谷は女子らに少なからずとも好意を抱かれている節があり、最初はそれに対して嫌気を差し、無視をしているのかと思っていた。が、最初から異性に興味が無いことが何となく分かった。
それは、しかも碧衣に薄らと興味があるような雰囲気が伝わるのだ。
視線を感じたり、挙げ句、目が合うことが多い。
前も山中と今のような話をしていた時も口を挟んだことがあった。
ちなみに食べている焼きそばパンも、よく食べているから、好きなのかと訊くと、観たドラマの推しの俳優が食べていたからとのこと。
·····このことに関しては人のことは言えないが。
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