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告白の秋 3

放課後。やっと自分らだけになり、周り──特に女子達──に気にすることもなく言えた。 聞いた途端、二人は衝撃を受けた顔をしていた。 「はぁ!? だって、お前同じクラスだったのに、名前ぐらいしか知らなかったじゃん! その後、会ったのかよ!」 「あぁ·····会った、といえば会ったけどな·····」 歯切れ悪そうに言う碧衣に、二人は顔を合わせて首を傾げていた。 どこまで言うべきなのだろうか。まさか、あんな姿をたまたま見つけてしまったのがきっかけだとは言えない。 少し迷った後、言ったのは。 「あいつが縁側にいて、それを塀の穴をたまたま覗いた時に、見かけたんだ·····」 ぎこちない嘘。 山中は、「ほぉー、そうなのか〜」と深く考えず、感心したような声を上げているが、石谷は、「·····そうか」とどこか疑いの目で見ていた。 それだけで緊張で握りしめていた手から汗が滲み出ていた。 「あいつ、ある理由があって部屋に閉じ込められていたんだ。あの様子だと自分が学校を辞めたことを知らないな。んで、急に泣きやがるから、その·····放っておけなくて、月一ペースで会いに行ってる」 「ほぉー·····? で、そのって?」 さすがの山中もそこは気になったらしい、訊かれてしまった。 言うべきなんだろうな。 言葉を濁して言おうか言わまいが悩んだ末に言ったを、「信じられねぇ話なのだが」と前置きをし、 「18の時、あの兄貴との子共を身篭らせられる·····らしい」 「「····················へ?」」 数秒の間の後、二人の声がほぼ重なった。 「ん? 碧衣ちゃんは今、何を言ったんだ?」 「男同士で子供を作れるわけがないだろう。カクレクマノミみたいに性転換するっていうのか?」 「俺も最初は全く信じられなかった。あんな所に閉じ込められているから、頭がおかしくなったのかと。だが、悲しそうに話すあいつの話を信じられずには、いられなかった」 急に泣き出す桜屋敷のことをどうにかしたくて、会いに行っていた。それもあるかもしれないが、あんな兄のことをまだ好きでいることに無性に腹が立って、月一しか行けないというのに、そんな約束をしてしまった。 誰かに腹を立てるなんて初めてであったものだから、自分の行動に驚いていた。 「·····ま、まあ·····とにかく、碧衣ちゃんはその桜屋敷が好きなわけだな。わーっ!碧衣ちゃんの方が先にそうなるとか! 越されちまったな〜いや〜」

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