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春の誕生日と儀式に。4
「膝立ちじゃちゃんと見れないな。僕の前に立って」
言われるがままにそっと立ち上がって、薄目で兄の顔の前に自身のを見せる。
そうした直後、兄は愛しいものを触れるかのようにそっと葵人のソレを優しく触る。
直後、ビクッと身体が震える。
「僕が触れただけで、ここが欲しそうに震えているね。そうだよね、もうしたまま1週間にもなるのだから、触られたくて仕方ないもんね。だけど、夜までお預けだよ」
「·····あ··········んっ·····」
言いながら、わざとらしく指先で触ったり、息を吹きかけてくるものだから、感じてしまい大きくなろうとする。だが、阻まれ思うようにならず、ただ痛みに耐えるしかなかった。
「に、い·····さっ·····いった··········っ!」
必死に訴えるのも虚しく、兄は触れるか触れないか程度に触ってくる。
もどかしい。直に触って欲しい。
チクッ、チクッとさっきよりも下腹部が痛くなってくるのもあって、脂汗が流れてくる。
「──碧人様。お戯れの最中、失礼します」
突如として開かれた廊下から下男が無表情で現れる。
見られた恥ずかしさと、立っていられなくなり、兄に覆いかぶさってしまう。
そんな葵人に分かりきった様子で受け止めつつ、「もう、そんな時間なの」と呟く。
「ええ。碧人様は別の部屋で、葵様はこちらでお支度をして頂く時間です」
「そう、なら仕方ない」
無愛想にそう返事すると、息を切らしている葵人の頭を撫でる。
「寂しいけど、僕は別の部屋に行かないといけないんだ。次会うまできちんと支度して、いい子にして待っているんだよ? いい?」
「·····っ·····はぁ·····は·····」
まともに返事すら出来ず、切らした息しか出なかった。
それをちゃんと言うことを聞いたと判断した兄は、横抱きをし、布団の上に横たわらせる。
そして、下男と共に部屋を去るが、去り際、名残惜しそうに葵人ことを見つめていた。
その間も葵人は、息を整えるのと、腹の底から疼く何かに耐えるのであった。
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