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春の誕生日と儀式に。6

この痛みは本当になんなんだろう。兄はそのことに対して、受け入れる準備が始まっていると喜んではいたが、ああ、だけど、さっきとは違う感じがしてきた。 兄の模したモノを咥えている萎みが徐々に濡れているような感覚になっていき、吐く息も若干乱れてきている。 それが段々と激しくなっていき、立っているのがやっとな状態になる。 戒められている部分がムズムズしてくる。それは今にも出したくて仕方ない感覚。 一体いきなりどうしたのだろうか。毎日、兄にしてもらっていたことが1週間もしなかったせいで、疼いてしまっているのだろうか。 汗なのか下から漏れ出てしまったのか、太ももを伝うような感覚を覚え、とっさに足を閉じる。 その間も下男は葵人の異様な様子に慌てるわけでもなく、「さぁ、しっかりとお立ちになってください。そろそろ碧人様がお見えになります」と言い、障子の前へと歩くことを急かされる始末。 「ま、待って·····っ、歩け、ない·····」 「申し訳ありませんが、私どもの手を貸すことも出来ません。今の葵様に触れてしまったら、後々、碧人様に叱責を受けてしまいますので」 「で、でも·····っ!」 顔が熱い。膝から崩れ落ちそうなほど足に力が入らなくなってる。もう限界。自分でシてしまいたい。 その場に膝立ちになりながらも出来るだけ足を開き、戒められているのにも関わらず、悲鳴を上げている自身のをまさぐろうとした時。 「──碧人様が入られます」 そう言ったのと同時に障子が左右に恭しく開かれる。 そこに立つ兄の姿は今まで見た以上に酷く目が奪われてしまうほどに惚れ惚れとするものだった。 葵人から見て、右半分の髪を後ろに撫でつけ、普段の穏やかな雰囲気に凛々しさが加えられる。 そして何よりも見てしまうのは、白の長着に、金の刺繍で施された、桜の紋の入った白の羽織、下にいくにつれて徐々に灰色かかっていく袴。 葵人が白無垢ならば当たり前に合わされた兄の和装は、これほどまでに見事なことになるだなんて、誰が想像しただろうか。 素敵だね、と言いたいのに、その言葉さえも言う余裕が無くなっていったのは、しっかりとした足取りでこちらに近づいてきた碧人が来たからだ。 「·····僕が思っていた以上に、葵は素敵な姿になったね。綺麗だ。ふさわしい花嫁になっているね」 「に、い·····さ·····っ、」 「そんな頬を赤くして、潤んだ目で見てきて。もう発情したの。だけどね、まだ──」 「キス、して··········」 兄の言葉を遮って言った言葉に驚きで見開いた兄を見て、遅れて気づき、だが、己の意思とは関係なく、「キスして」と何度も言い、兄にしがみついて、リップが塗られているらしい唇に自身の真っ赤に塗られた唇を重ねようとした。

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