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春の誕生日と儀式に。19
「黒岩。碧衣の護衛はいいからその二人を座敷に案内してあげなさい」
「承知しました、旦那様」
父親に礼をすると、「さ、碧衣ちゃん様の大事なご友人の方ら。こちらです」と二人を奥へと案内をする。
二人は碧衣の方を見て、見合わせると小さく頷き、「じゃ、碧衣ちゃん」「葵人と愛を深めて来いよ〜」とにやにやと笑って黒岩の後をついていく。
二人のいつもと変わらない冗談に、今の碧衣にとっては緊張で上がっていた肩をほぐしてくれた。
友人ってありがたいものなんだなと改めて思っていると、「碧衣は私と来なさい」と左側の方へと促される。
大人しくついていく後ろで、「いってらしゃい」とのんびりとした口調で見送る母親の声が聞こえた。
長い廊下を歩いている最中、どちらとも話さずにいたが、葵人の甘ったるい息遣いがより一層耳朶を打ち、そのせいか中心部が素直な反応を見せる。
初めて葵人と会った後、思わず慰めてしまった以来、罪悪感を覚え、しないようにしていたが、これでは持ちそうにない。
必死になって気を紛らわとしていた時、「この部屋に入りなさい」と障子を開けてくれている父親に感謝の言葉代わりに小さく頷くと、部屋へと入る。
広さは葵人がかつていた部屋と同程度の、横に広がった座敷であった。
その中央に布団が一人分敷かれていた。
これはどういうことなのかと困惑していると、後ろにいる父親が言った。
「呪いは簡単には解けない。その解き方を言い伝えられていないからな。が、恐らくだが、可能性は一つある」
「っ! それはなんだ!」
思わず父親に食ってかかる勢いで振り向く。
そんな息子に口角を上げた父親は言う。
「『巫山之夢』ということわざがあるだろう?」
「は?·····え、あ、あぁ·····」
「そういうことだ」
「はぁ!? って閉めるな!·····っ」
言いながら閉め、さっさと去った父親を追いかける時、不意に唇を重ねてきた葵人に突かれ、そのせいで後ろへと倒れ込んでしまった。
その隙を突き、葵人はそのまま執拗に唇を重ね、僅かに開いてしまった隙間に自身の舌を入れてくる。
「·····っ、あ、お·····っ、 やめ·····っ」
葵人をひとまず引き剥がしたいはず。
それなのに、葵人に身を任せ、その舌を受け入れて絡ませ合った。
頭に直接響く、舌が絡まり合う水音、隙間から漏れる二人の乱れた息。その二重奏が碧衣の中心部に血流が集まり、ズボン越しからでも分かるぐらい膨らんでいるのが見えた。
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