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迫る真実 1
「·····ん·····」
小さく呻き、目をうっすらと開ける。
昨日は兄と結婚し、夫婦となり、そして初夜の最中、西野寺達が現れて、それから──。
「·····っ! い、た·····っ」
自身の目と鼻の先に瞼を閉じている西野寺がいたことに非常に驚き、拍子で飛び上がった直後、腰辺りに鈍い痛みが走り、身を屈める。
こんなに腰を痛めるだなんて何をしたんだろう。あの時はまだ兄とは交わってないはず。いや、それ以前にあの夜から記憶が曖昧だ。
何がどうして、隣で西野寺が寝ている状況になったのか。
「·····っ、朝か·····? 葵人、起きた·····って!」
西野寺が目を覚まし、起き上がろうとしていたが、葵人と同じように顔を歪め、腰に手を当て悶えていた。
「だ、大丈夫·····?」
腰に当てている手にそっと添えて心配そうな顔で覗き込む。
「俺なんかよりも葵人の方はどうだ? その·····なんだ、もう·····から·····、かさね·····」
「え?」
「だからっ! 身体を重ねなくても大丈夫なのかって聞いてんだよっ」
「···············へ?」
言わせるなよ、と顔を背けた西野寺の耳が真っ赤になっていることに気づき、今言っていたことを頭の中で咀嚼する。
僕と西野寺君が、身体を·····重ねた?
一体どうしてそんなことを。
けど、一つ分かったことがあった。だから、腰が痛いのだと。
たとえ葵人が覚えてなくとも、身体は覚えている。──ということは本当に。
瞬時に顔が熱くなった。
「ご、ご、ごめんなさいっ! 僕、何にも覚えてなくて!」
「はぁ!? 何回もしつこいぐらい求めて来たクセに全く覚えてないのか!!?」
「そんなにっ!? どうしてそうなったの!?? 」
こちらに勢いよく向いて叫ぶ西野寺にビクッとしつつも同じ声量で驚く。
「·····本当に覚えていないんだな」と落ち込んでいるような声音で呟く。
その姿がチクリと胸が痛み、とにかく自分が悪いんだと思い、慰めるようと手を伸ばした時。
「·····ってことは·····!」
「え、西野── ひゃあ!?」
バッと浴衣の合わせの左側を捲られる。
突然のことに頭の理解が全く追いつかず、「·····無くなっている」と呟く西野寺の方を見下ろす。
初潮が来た時から小さく膨らみ始めた乳房に眉を潜めたのも一瞬で、「·····なにが?」と訊く。
「お前って、刺青入れていたか?」
「刺青·····? とんでもないっ、僕そんな痛いことなんてしないよ」
「だよな·····するようなやつじゃないもんな」
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